後藤と黒田
後藤又兵衛*黒田長政
何も変わらない。
自分と似た髪型に色、しまいには太刀筋やら何やらも似てると来たものだ。
そして親から貰った身体の同じ場所に、お互い傷を付けたのはついこの間のことのようにも感じる。
その小さな傷―穴―にこれまた小さな飾りを通した。同じ色の、同じ形の、対になるべきものの片方ずつを。
「まだ、着けてたんだ」
「お前もだろう」
穴を開けるのは一瞬だった。躊躇いも戸惑いもなく、気付いたら貫通していた。
突然泣き出すものだから、痛いのかと問えばゆるゆると首を振る。じゃあなんだと聞けば嬉し泣きだと答えた。
「あんたとの約束だからな」
「まだ覚えてるのか、憎らしい」
一緒。人に取られず模倣もされない、二人だけのもの。
意味がわからなかった、もちろん今もわからないが。
「消えてしまえ」
「じゃああんたも連れていく」
「ふざけるな」
「なら先にあんたを殺して俺が続けば問題ないだろう?」
「信用できるか」
頭が切れるのだかそうじゃないんだか、我儘な所も昔から変わらないのだ。呆れるくらいそのまま。
盛大に嘆息を洩らせば一発殴られた。