前田と丹羽
 前田利長+丹羽長重


「五郎左、合わせろっ」
「そないなこと、わかっとるわ」

不思議と息が合うのだ。父を知る者には双璧の再来と言われたこともある。
でも太刀筋や何やはすぐ下の弟の方が似ている。自分が継いだのはこの喋りだ。

「孫四郎は少し早い」
「そんなことない」
「うちやなかったら合わせられまへんえ?」
「ならお前と組むからいい」

さらりと言う言葉に思わず目を丸くした。ああ、いつだってこの人はそうだ。
自分は合わしてやれる性格だからいい、だがこれが相手も猪突猛進型だったらどうするつもりなのだろうか。もしそうだったら、一人で斬り込む気なのだろうか。

「お前なら、何故か合う」
「うちもや」

笑って手を合わせた。そんな義兄の、隣に居れるのが実は誇らしかったのだ。

あの頃は辛くも幸せだった、そう思いたい。



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