上杉義兄弟
上杉景虎*上杉景勝
「どうしたの?」
「いや、」
視線を感じたから横を向けば目が合って、でも少ししたら逸らされた。
何故か無意識に手が伸びて、くしゃくしゃと頭を撫でた。もちろん可愛い義弟は突然のことに目を丸くしている。うん、可愛い。
「怒らないんだ」
「別に」
「もっと触っていい?」
「う、うむ…?」
髪を丁寧に直しながら笑って素直にそう言えば、よく意味を理解出来ていないのか少し首を傾げつつも許可してくれる。
指が触れて、滑って、頬を撫でる。自分の室となった彼の妹もそうだが、白いなぁ、と毎度思う。白に包まれた、雪国の生まれだからこその色。
生憎自分はそれを持っていないけれど、近付くことなら許されている。
「羨ましいとは思わないけど、綺麗だとは思うよ」
「義兄上の方が綺麗だ」
「それはもう、聞き飽きちゃった」
断りもなく、唐突に触れるだけの口付けを落とした。悪びれもせずにこりと笑ってやれば、今度は彼から同じように口付けられた。
だから逆に俺の方が動揺してしまった。
(だって彼が、自分からしてくるなんて誰が予想出来ただろうか!)