保科
 保科正之


ふと、あの人は特別なんだと思う時がある。自らをあの人の手足と称する者は、あの人は太陽だと言っていた。
あながち、間違いではないと思う。

そんな人と、半分だけでも同じ血が流れているのかと思うと堪らなく嬉しくなる。
それに僕はあの人に嫌われてはいない、その事実は大きい。

「兄上の、邪魔はさせない」

敵を鋭く抉る得物、いっそ内臓なんてぶちまけてしまえばいい。
醜く息絶えるまで苦しんで、その僅かな生を感じればいい。

「太陽に刃を向けた罪を償え」

あの人の為ならこんなにも残酷になれる。人間という生き物は、不思議だね。



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