上杉主従
 直江景明*上杉定勝


※某診断での結果が元ネタ



平八は、目が悪いのだという。夜になるとほとんど何も見えなくなるらしい。
それでは不便だろうと、どうしているのかと聞いたら他の感覚が鋭いのだと言っていた。確かに彼はとても耳が良い。

「眼、綺麗」

「きらきら、硝子玉みたい」
「…お好きですか?」
「平八は、全部好きだ」

視力が乏しいとされる彼の眼は美しく、光の加減によっては硝子玉のように綺麗に見える。
その眼に見つめられたなら、何故か急に怖くなった。怖くて、気が付いたら彼を抱きしめていた。

「どうかなさいましたか?」
「…」

なんとなく、怖くなった。そんな特に根拠も無い理由なんて言ってしまったら、きっとまた幼子のようだと彼は笑うはずだ。
ただ黙って抱きしめる。手を離したら、居なくなってしまいそうだから。

「喜平次様、離して下さい」
「嫌だ」

だから、拒絶した。離してなんてあげない。

「しかしこれでは、貴方様の顔が見えませんから」

優しく触れて来る手が心地良くて、ただただ彼を抱きしめていた。仕方ないといった風に笑うその声すらも、自分だけに向けられているのだと実感出来るのが幸せだった。

「どうか顔を見せて下さい、私の愛しい主」

お願いだから貴方のその綺麗な眼に、我以外を写さないで。



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