前田と丹羽
 前田利長→←丹羽長重


歪んだ歯車をひとつ戻しても、一度ずれてしまったものはそう簡単には直らない

「首、繋いでもらったのか」
「こないな所で、うちは終わるわけにはいきまへんのや」

どうして、今この手は目の前に居る彼の首に添えられているのだったか。
どうして更には手に力を入れ、じわじわと彼の首を絞めているのだったか。

「丹羽の家もあらしゃいますし、まだあんさんが生きてはる」

「うちだけ先にくたばれへんわ」

大人しそうな顔をしながらそう言った途端、こちらの首を絞めに来る。大人しそう、なんて顔だけで生憎本人はそんな人間じゃない。それはよく知っている。
図ったわけでもないのに、何故かお互い同時に手を離して次の瞬間には得物を構え相手の首に突き付けていた。

「結局こうなるか」
「この結果以外、うちらにはありえへん」

理由なんて要らない。
ただお前を殺したい。

それ以外の答えは、俺もあいつも持っていなかった。



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