細川親子
 細川忠興+細川忠利


父は苦手だ。
あの人はどこまでも他人に興味がなく、母以外はその目に映っていないのではないかとさえ疑うほどだった。

鋭いその目が苦手だ。
あの忌々しい合戦があってからというもの、父は私を通して母の姿を探すようになった。
だから私は髪を伸ばした。少しでも母の面影から遠ざかるために。

子供ながらにも理解していた、父には母が全てだったんだ。





「興秋ぃぃぃいい!!!!!」

「貴様玉の血を汚すくらいなら今すぐそこで果ててしまえ!!さぁ!今この地でだ!」

兄は大坂についた。家を出て、何をしているかと思えば敵として現れる。まるでどこかの物語のようだ。
声が枯れてしまいそうなほど激しく叫ぶ父は、今にも兄を殺してしまいそうだった。例え自らの血を分けた子であっても、敵になったのだから殺してしまっても構わないのかもしれない。

「父上、」
「…なんだ」
「貴方には、何が見えているのですか」

「お前には見えないものだ」

父の返事を聞いて、私はこれ以上考えることを止めた。世界が、次元が違いすぎる。
あぁやっぱり、父は苦手だ。



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