上杉従兄弟
上杉季信→上杉定勝
※上の続き的な
「ねぇ、さっきのどういうこと?」
「そのままだよ」
少し前を歩く定勝に追い付こうと小走りして横に並ぶ。ふと足を止めたかと思えばそんな季信の袖を掴み、定勝は笑う。
「季は綺麗だ、そして我の手元に置いておける」
「でも上杉でない者はこの手に留めておけない」
嬉しそうに、そして時に寂しそうに笑う定勝の方が、季信は綺麗だと思うし好きだった。
「それは、上杉の血?」
「…そうかもしれない、代々綺麗なものが好きなんだ」
「でも私も、千徳殿の御眼鏡に適って良かった」
ふわりと笑う季信につられて定勝もまた笑う。
時に季信は、定勝が綺麗だと言うもう一人の人物、直江平八景明を一目見てみたかったと思わずにはいられなかった。
景明と並んだら、定勝はどちらを選ぶだろうか、と。
「千徳殿、」
「どうしたのだ?」
「私は負けず嫌いだから、貴方に選ばせてみせます」
「う、うむ…?」
(直江殿には負けたくない)