上杉主従
直江景明*上杉定勝
※突発につき意味不明
「ありがとうございます」
父に、母に、私をこの世界に生んでくれた両親に感謝を。
私をまたこの日まで生かしてくれた命に感謝を。
あの方を生んでくれたことに感謝を。
あの方に逢わせてくれたことに感謝を。
「平八はいつも大袈裟だな」
「いいえ、これぐらい当然。むしろ足りないくらいでしょう」
「貴方が今日という日に生まれたことに感謝を」
何度目かもわからない、重ね続けた忠誠と誓いをまた今年も積み重ねる。
小さく笑った主は私の手を取り柔らかく微笑む。
「では我は、今年も再び平八と居れることに感謝を」
「私ばかり贔屓されると、また後で言われますよ」
一応はそう言っておくけれど、当たり前のことをわざわざこちらから覆すつもりは毛頭無い。無いし、変えさせるつもりも勿論無い。
だってどちらも有り得ないことだから。
ゆっくりと押し倒して握り返した手はひやりと冷たい。そんな状況でもしたり顔で笑うものだから余計にこの方は質が悪い。
「平八は特別だ」
「文句は言わせない」
「…喜平次様、」
「うん?」
「ずっと、傍に置いて下さい」
「当たり前じゃないか」
「生まれてきてくださって、ありがとうございます」
何千何万という奇跡に感謝を。