上杉義兄弟
上杉景虎→←上杉景勝
※パロ、というかとある設定での話
どうして、俺には許されないのだろう
「景勝、」
「痛い?」
「……痛い」
格子越しに触れた手は季節に関わらず冷たくて、触れたそばから彼の手を赤く変えていく。
可哀想な義弟、屋敷に軟禁されて思うように生活することもままならない。
「もう少し、もう少しだけ…」
指先の皮膚が赤くなり腫れ始めた。彼には焼けるような痛みが走っているのかもしれない。
可哀想な自分、好意で触れた彼を残酷にも痛めつけ傷つけてしまうのだから。
「景虎、」
でも彼の手ばかりを気にしているけれど、自分の手も青くなり始め血流の流れが悪くなってきたみたいだ。体温がみるみるうちに奪われ、身体がこれ以上は危険だと信号を発する。
漸く離した手、彼のものは赤く俺のものは青く変色してしまった。
「…あとできちんと冷やしておくんだよ」
「お前も…これ以上冷やすなよ」
もっと、触れたいのに。
名残惜しく離れた指は互いに嘘を吐いた。