※表記は秀勝ですが定勝時代



「――…君、」

誰かが手を握る感触、伝わる温かい熱、聞こえた声は―――

重い瞼をゆっくりと開けば、やはり予想した通りの彼が直ぐ傍に居て、いつもと同じように眉をハの字にしてこちらを心配そうに見るのだ。

「…さ…かつ、は、ん…?」

はい、という小さな声がして先程よりもぎゅうと手を握られる。
コツリと額をくっつけ俯いてしまうのでその表情は窺えないが、また泣きそうな顔をしているはずだ。この子のことだからきっと。

「心配、しました…」

わかっては、いるはずなんですけれど…どうしても

ぽつりぽつりと紡がれる言葉は勿体ない程綺麗で、こんなもの貰っていいはずもないのに、突き返すことも出来ない。

「う、ち…定勝はん、泣か、せてばかり…やわぁ…」

ゆっくりと上げられた顔を見て、ほら泣きそうな顔をしているじゃない。なんて思ってしまった。
(やはりこの子は、こんなにも優しいのだから)
今にも零れ落ちそうな涙は、うちに不釣り合いなくらい綺麗だった。

(…君の代わりに、泣くのです)









そんな資格なんて無い



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