正直、呆れたとしか言えなかった。

「――それで、光長は何してるの?」
「何、と言われましても…」
「家中があれだけばらばらなのに君は江戸でのんびり?笑っちゃうね」

この従兄弟がおっとりした性格なのは知っていた。知っていたが、それにも限度があるだろう。こんな者、一門として置いておくことに何の価値があるのか。
一応仮にも一門だから、ということで城に呼びつけ騒動の一連について話を聞いたのだが、もうどうでも良くなって来た。

「帰るにも、帰れない状況でして…それに越後と江戸では距離もありますし、」
「江戸からでも指示は出来るだろ?それともお前にはその権威すら無いのかよ」

苛々してくる、この従兄弟と話していると。こういう時はそう、何かをぐちゃぐちゃにでもしないと気が済まない。
それに、もう面倒だから近々裁いてしまおうか。光長の家は要らないし、ついでに何人か斬ってしまおう。邪魔なお荷物は私に必要無い。

「君とは話にならない」
「え…綱吉様っ!?」

だから人間は嫌いなんだ。
面倒で、億劫で、弱くて脆くて。あぁ、つまらない。

「部屋で狗が私の帰りを待ってるから、じゃあね」

引き留める声を聞き流して部屋を出る。私を待つあの狗は、今日はどんな声で吠えてくれるかな。
こっちの方がよっぽと楽しみだ。





軽い一言が酷く重い



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