「死にたいか?重綱」

足を取られ、体勢を崩した隙をつき一気に押し倒され、突き付けられる重い刀。
ひたりと首に触れる刃は鋭く冷たく、皮膚が既に切れているのか僅かに水の伝う感触がする。気持ち悪いそれと坦々とした声に思わず背がぞくりとする。

「それでは簡単に首を取られるが」
「生きます、まだやらねばならないことが沢山あります故に」

ざくりと引き抜かれた音と刀を確認し、ゆっくり身体を起こす。何度も刀を受けた薙刀を持つ手は、もう痺れて感覚を麻痺させつつある。
びりびりと電気が走る様なそれはもう日常的なものとなってしまっているし、不思議と特に苦には思わない。

「重綱、」
「はい」

少しだけ振り向いて告げるのは褒め言葉か、はたまた単なる皮肉か。背をしゃきりと伸ばし、多少なりとも不安になりながら声を待つ。

「努力なさい」

ただそれだけで他には何も言わずさっさと立ち去ってしまうのだけれど、引き止める言葉も見つからなかったので、「はい」とだけ返事をした。









追い付きたい、貴方に



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