「綱ってさ、」
「うん?」
「結構何考えてんのかわかんなくて、案外どろどろーってしたことだって口にしちゃうじゃん?」
ぱちりと囲碁を打っているので、てっきり次の手について考えているのかと思っていれば、口から出た言葉は全く関係ないことばかり。
周りの状勢から推し量り、近々戦があるかもしれないということを述べたり、使えない兵達の処分はどうしたら良いか等様々。
「…相変わらずお前は失礼な奴だね」
「でもさ、」
でもそれは必ず誰かがやらなくてはいけないことだから、目を逸らすことは許されない。
「こうやって動物達が寄って来るってことは、こいつらは綱の本質を見てるってことだよね」
「は?」
気付けば一体何処からやって来たのか、綱元の周りには鳥の様な小動物から狼の様な獣に至るまで、警戒心を解いて近寄って来る。
「口ではどう言ったって綱はやっぱり優しいもの」
「そんなの、小十郎に対してだけだよ」
「それでもそう思う」
決断を下して、直接手を汚すのは別の人だとしても、そこまでの判断をするのだってとても心苦しくて重たいこと。
俺らだって理解してる