「顕景様?」

ひょいと覗き込めば普段よりも小難しい顔をした(といっても、私ぐらいじゃなければ違いなど到底わからないだろうが)主が何やら考え事をしている様で、手を顎にちょこんと付けて悩んでいます

「我は、与六と話すのは苦には思わないのだ」

唐突にその一言を呟き、再び言葉を詰まらせ思い悩む
それと同時に先程の言葉をはたと思い出し、思わず勘違いしてもいいのかと思ってしまいます

だって人と話すのが苦手なこの方が、苦に思わないなんてことを仰るものですから!

「だが三郎兄上と話すのも別に苦ではないのだ」

あぁ、でもこの一瞬で完全に夢を壊されましたよ、私だけ特別なんて儚い夢
構わないですけどねー、別にー

「しかしやはり、与六の方が良いな」

そうやってこちらを見たその顔がやけに輝いていて(脳内美化十割)(実際はいつもと変わらず)不覚にもきゅーんとときめいてしまった訳です

「あっ、顕景様ぁ!!」

大きさもまたちんまりとした感じでしてぎゅっと抱きしめたら潰れてしまいそうです

不識庵様、この可愛い子を是非私の嫁に下さい
むしろ私を婿として下さい

「よ、与六…くる、しい…」

ジタバタする姿もまた可愛らしいです…
体格では敵わなくとも腕力では私を遥かに上回るのだから、素直に突き飛ばせばいいものを、それをしないのだからまた愛らしい

「顕景様、御慕いしております」
「わかっ…て、る…」

さて、景虎様に見つからないうちに連れ去りますか
可愛い可愛い私の主を









勘違いだってします



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -