草津→水上







「水上は、僕のこと好きだよね?」
「…別に嫌いじゃない」

これが、僕と水上の距離。
手は届くけど仲良しというほど仲は良くない。気持ちは通じても想いは通じない。
相方は僕なのだと、きっと彼は認めてくれてはいるがそれだけ。僕は、それ以上を求めている。

「一番、好き?」
「たにがわよりは好きじゃない」

新幹線である彼の弟分、その存在にいつも嫉妬する。
(僕の方が水上を好きなのに、僕の方がいつも一緒に居るのに)
(どうしてあいつの方が僕より君に近いの)

握りしめた自分の手は、何て使えないのだろう。ミシリと無意識に鳴った歯軋りが響く。

「……でも、特急の中なら、草津がいい」
「ほ、本当っ!?」
「うん」

身長がほとんど変わらない彼に頭を撫でられ、反芻したさっきの言葉はすごく嬉しかった。少しでも彼の好意が自分に向けられているのだから。
やっぱり堪らなく水上が好きで、好きで好きで仕方ないから、僕は彼をぎゅうと抱きしめる。苦しい、と小さく聞こえた声には生憎答えてあげられそうにもなかった。




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