札沼+南北





※ただ食べてるだけの話






「美味しい?」
「…おいひぃ」

南北が買って来てくれたチーズケーキを頬張る。品切れだった関係で今日はレーズン無しだけど、これはこれで美味しい。
彼は僕が買って来た期間限定宇治抹茶チョコをのんびりと食べている。

「言ってくれればいつでも買って来るのに」
「たまに食べるから、美味しい」

どんなに美味しいお菓子だって、いつも食べていたら飽きが来るし味覚が鈍ってしまう。だからいろんな甘味を、同じものが続かないように順に食べて行く。
チーズケーキを食べ終えたら次はバームクーヘン。簡単に切り分け、グサリとフォークを刺して口に運ぶ。

「札沼はホント甘い物が好きだよね」
「南北は、嫌い?」
「好きだよ、量は食べれないけど」

抹茶チョコの次はかき氷のグミに手を出し、これまたのんびりと食べている。南北は会う度にケーキやお菓子をくれるし、食べ過ぎそうになったら止めてくれるからありがたいことこの上ない。

「残りは夜のデザートにしなよ、今あんまり食べるとまた函館が怒るから」
「ん、んー…」

函館は口うるさい、というかすぐ怒る。時々走りすぎて糖分足りてないんじゃないかとさえ疑ってしまう。
でもそんなことを言ったらまた怒られるから、いつもそっと黙っておくのだ。

「じゃあ苗穂で車両点検終わらせたら、また食べる」
「それがいいよ」
「…電化の会議、早く終わるといいなぁ」
「あれ、来年だっけ?」
「うん」

学園都市線という愛称を付けられてからもうずいぶんと経つけど、非電化の自分はついに電化されることになった。
嬉しいような、寂しいような、よくわからない気分だった。

「架線式って、どんな感じなのかな?」
「…南北電化だよね?」
「そうだよ。でも西と豊が架線でうちはサードレールだからさ」
「そう言えば第三軌条方式だっけ」
「そうそう…ってもうこんな時間じゃないか!札沼、後片付け頼んでいい?」
「大丈夫」

今度またケーキ買って来るから!とだけ言い残し彼は慌ただしく部屋を出ていった。だからついついもうひとつケーキを食べてしまい、あとで南北に怒られたのはまた後日の話。




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