函館+東豊





※捏造だらけ






「函館、最近忙しいんですね」
「んー…でも俺より石勝の方が忙しいかなぁ」
「特急の件ですか」
「そんなトコ」

少しだけ時間が出来たから地下に入った。顔だけ見れたらいいな、なんて思ったけど、神様は最近の頑張りにご褒美をくれたらしい。
札幌駅の地下鉄事務所。そこを出ようとした彼と、ノックをしようとした俺が鉢合わせた。一瞬すごく嫌そうな顔をされたけれど、ドーナツの袋を見せたら中に入れてくれたのだ。

「地下はどう?いつも通り?」
「特には。そちらのように信号トラブルもありませんし」
「う…それは、はい…」
「私の所は野球の関係で福住駅が少し慌ただしいくらいです」
「ドーム最寄りだもんねぇ」

よく見れば、彼の手元にある資料や書類は野球とサッカーのものばかりだった。札幌ドーム最寄り駅が福住。彼の、南の終着駅。

時計を見ればあと少しで千歳との会議の時間だった。マグカップに注がれた珈琲を一気に飲み干し、席を立つ。だがそこで袖を掴まれた。

「…東豊?」
「次は、もっと違うものを持って来て下さい」
「違うもの?」
「ドーナツは私でも買えます。札幌駅のものでしょう?」

札幌駅なのは確かにそうなのだが、そもそもにチェーン店のものだからどこでも買える。今日は予定になかったから間に合わせといえばそうなのだ。

「次はトラピスチヌクッキー買って来てあげる」
「期待しないで待ってます」
「そんなこと言う東豊も可愛いよー」
「そうですか」

東豊は天邪鬼だから、こう言っておきながら実は待ってるんだ。可愛いなぁ、なんでデレデレしていたら事務所から追い出され、続いて彼も出て来る。

「栄町まで行くので、途中まで一緒に行きます」

「時間あったらでいいからさ、時々上にも顔出してよ」
「…気が、向いたら」

繋ごうとした手はあっさりとかわされてしまったけれど、会って話せたから満足。こういう時ばかりは単純な頭で本当によかったと思う。
さて、退屈な午後の会議も頑張ろうじゃないか。




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