西武池袋+東武東上





※100%自己満足







「おい東武、」
「…何だよ」
「貴様何故私のことをきちんと呼ばないのだ」
「はぁ?」

事のあらましはこうだ。
東上が終点池袋駅にまもなく到着という所で、他線でも当たり前のように到着する駅においての乗り換え案内アナウンスが車内に入る。順番はともかくとしてそれは「JR線、地下鉄丸ノ内線・有楽町線・副都心線」と続き、最後に「西武線」と入って終わるのだ。

「間違ってないんだから別にいいだろ」
「なんだ貴様、一人離れ孤島だからと我らが西武への妬みか」
「誰が離れ孤島だ!俺だって東武の本線だ!」


(どうして、西武線なのだろう)
(それがもし池袋線なら、自分だと確立出来るのに)


西武であることに文句は無いし、むしろ光栄であるとさえ思っている池袋は、そんなことをぐるぐると考えていた。
だが東上はそんなこと知ったものじゃない。不機嫌な態度全開に池袋を威嚇する。

「東武、東上本線…だろう?」
「ったくなんだお前は!文句言いに来ただけならさっさと帰れよ!」
「人の好意を何だと思ってるのだ」
「大体、」

東上にだって言い分はもちろんあった。

「池袋で西武線なんてお前しか居ないんだから、別に問題ないだろ!」

言う必要が無いから、言わない。
目を丸くする池袋を知ってか知らずしてか、東上は手元の書類に視線を落とす。
池袋は西武の中で西武秩父線や西武有楽町線と直通はしていても、池袋駅からの始発はそれこそ西武池袋線しかないのだ。


(わかりきっていることを、何故わざわざ言葉にしなきゃいけないんだ)
(形にしてしまうことは、時に残酷だから)


「…それも一理あるな」
「うちのやり方にいちいち口出しするな、帰れ」

時計を見ればもう少しで休憩時間も終わるという所で、慌ただしくやって来た有楽町にまずは謝られる。副都心が車両点検でダイヤ乱れが起きているらしい。
直通している二人としては甚だ迷惑な話でしかなかった。





西は東に東は西に、その背中を振り返ることはなかった。




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