やまびこ+つばさ





※捏造多数につき注意






一人で走るこの区間、久しぶりだった。何も変わってないのに、世界が変わったような感覚に陥る。
先程まで繋いでいた手はまだ温かく、離れたということを頭が再認識した途端どうしようもなく怖くなった。

「…行かなくちゃ」

運転席を上り側に合わせ、乗客や安全の確認をしたら折り返しで走り出す。まずはそう、福島で相方を引き取りに行かなくては。

「遅い」
「ごめんね、停電だよ」
「知ってる」
「さぁ行くよつばさ、東京駅まで走る」


「――やまびこ、何かあったか?」

再び繋いだ手から、気持ちが流れてしまえばいいのに。
好きも嫌いも喜びも悲しみも、共有出来たらいいのに。

「いいや、何も」
「…そうか」

二人なら喜びは倍に、悲しみは半分になるだろう。俺たちがそうなるにはまだ少し時間が足りない。
離れないように繋いだ手に力を入れた。




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