秩父鉄道+東武東上
※ネタがネタなだけに不謹慎と思われる方はすぐにお帰り下さい
「いい迷惑だ…!」
新聞の地域面にも載った事故による運休と遅延。思い出すだけでも吐き気がしそうだった。
独特の感触、振り払いたくとも振り払えないまだ鮮やかな記憶。
「東上、」
「ち、秩父鉄道!?」
ぽん、と肩に置かれた温かい手。振り返れば直通こそしないものの、隣を走る見慣れた顔が視界に映る。
「無理すんじゃねーぞ」
「え、なっ…」
「お前は何でも一人でやろうとするから」
俺は一人でもやって行ける。その決意が彼の一言で脆くもぐらりと揺らいでしまう。なんて意志が弱いのだろうか。
そんなことを言われたら、自分を甘やかしてしまう。甘えて、しまいそうになる。
「助けてはやれないかもしれない。でも、」
「傍にいるからな」
あぁ、いけない。このままじゃ、いけない。
彼の笑顔に酷く揺さぶられて、思わず顔を背けてしまった。他意は無いのに、一体自分は何を期待しているのだろう。
「あ、ありがとう…」
「あれは東上がどうのの問題じゃないから、あんまり考えすぎるなよ?」
「…わかった」
次の春が来る頃には、何か変わっているだろうか。
それはこの少し曖昧な関係なのか、自分を取り巻く周りのことなのか、誰にもわからないけれど。