絡み付いたそれは、許されないもの。
異教徒、神を信じるその結束力は、時に恐ろしい。



「お虎、それ何?」
「俺のものではない」
「そりゃわかってるけど、」
「絡んで外れないんだ」

幼い頃より身につけていた数珠に絡むクルス。外そうにも巻き付き絡まり、下手すれば全てが壊れてしまうだろう。
切支丹の証であるクルスが壊れるのはさして苦にも思わないが、数珠だけは壊してはならなかった。

だから、外せないのだ。

「摂津が、薬屋が最期に俺に残しよって」
「弥九郎が…?」
「いっそのこと、引き千切れればいいのだろうが」

嫌でも目に入る。質素ながら所々にちりばめられた綺麗な石、光を反射しきらきらと輝く。

(馬鹿虎!はようくたばらんか!)

なんとなく、似ている気がした。自分では考えられない細く柔らかい髪はそうだ、日に当てるときらきらして見える。

「でも出来ないんだろ?」
「仕方ないからな」
「お虎は優しいもんなぁ」
「そんなもんじゃない」

何が嘘で、何が本当で。
気付いて欲しいという小さな感情を、隠さなければいけないという義務感が覆い隠す。

(でもな、)

かつてひとつの地を分かち合った水の人間は、

「それに、もういない」

渡ってはならない川まで渡ってしまった。いや、自身が信じた神の元へ帰ったのだろうか。
そんなこと、わからないけれど。

(僕より先に死なんといてや)



――――――

一応肥後宿敵ですが、喋っているのは清正と正則
関ヶ原が終わって処刑後ぐらい








正反対な二つの神



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