君と僕の価値観の違い
「結局、どっちがキャプテンになるの?」
本日も練習を無事に終え、着替えが終わった所で昨日は彼が教官に呼び出されていたことを思い出した。究極のチーム"ゼロ"のキャプテンを決める話かとは思ったが、正にその通りだったらしい。
彼がトントン、とブーツの爪先を小さく鳴らす。
「俺だ」
「何事も無く決まったの?」
彼は気に障ると激しく怒ることもあるが、決して手は出さないということも知っている。対するシュウはいつも飄々としていて、怒った場面を見掛けることはほとんど無い。
そんな二人だから殴り合いになることなどなかっただろうが、念の為に聞いておいた。
「あぁ。俺は始めからその気でいたし、シュウも俺が良いと言うからな」
何となく、嬉しそうにそう言う彼を見ていたらこっちまで嬉しくなってきた。自分のチームのキャプテンが他のチームのキャプテンに認められているのだ、嬉しくないはずがない。
「「白竜以外がキャプテンなんて認めない」だと」
「へぇ」
シュウの台詞を改めてさらりと言った彼は、言葉の意図を汲んでいないのか、それとも理解していないのか。やっぱり私生活において彼は少し鈍いのかもしれない。
実力を認めている、ということだけではない気が薄々するが、今はそれを考えないことにした。
「でも白竜がゼロのキャプテンならなおさら、俺たちはお前について行くよ」
「当たり前だ」
白く輝く竜が、声を轟かせ天を裂くのを少しでも手助け出来るなら、俺はそれでいい。