君と僕の価値観の違い
「結局、どっちがキャプテンになんの?」
エンシャントダークとアンリミテッドシャイニングの混成である究極のチーム"ゼロ"のキャプテンに。とまでは言わなかったけれど、言いたいことは無事に伝わったらしい。
すっかり着替え終わって既に私服姿の彼は踵をひとつ鳴らした。
「白竜だよ」
「シュウが譲ったのか?」
有り得ない話では無いと思う。チームとしてだけではなく、個人としても究極の頂点に立とうとする白竜なら、自分がキャプテンであるべきだと主張するのも考えられた。
しかしそんな予想は大きく外れたらしくて、彼は声を上げて笑った。
「違うよ。僕にその気が無かったのと、白竜の方が適任だなって思ったから」
先頭に立って指示を出し必要とあらば自ら切り込んで行く、そういう面からも考えてみればなるほど。確かにシュウよりも白竜の方が向いているのかもしれない。
だから彼はキャプテンではなく、キャプテンの隣に立ってサポートする役を選んだのだと言う。
「それに僕は、白竜じゃなきゃ認めない」
そう言った彼の目からは、有無を言わせない圧力を感じた。
「…お前がそう決めたなら、俺は反対しないさ」
ただまた彼の背中が少し、遠くなるんだな。なんてことをぼんやりと考えていた。