ナオヤ+ビャクガ(cfbeS)




「君は本当に、自分のことには興味関心が無いんですね」

心を持たない人形。正確には、心など不要だと自ら抑え付けて封印してしまった傀儡人形。
しかしそれも初めて見た時と比べれば少しずつ変化している。冷静というよりは淡々とした感情の無い声にも僅かではあるが抑揚が多く付くようになったし、今まで記憶にも留めておかなかった他人のことに対し興味を持ち始めた。

「グランドBマスターに関すること以外は、と言った方が正しいかもしれませんが」
『おい、何をする気だ』
「ほら、レイドラの方がよっぽど君を気にしていますよ」

そっと手を伸ばし色素が薄く毛先に癖のあるその髪に触れる。やめろ、と伸ばした手を払われるかとも思ったが、そんなことも無くただされるがままだった。嫌いではないが、このままではいささかつまらない。

「お前は、何がしたいんだ」
「さぁ?何でしょうかね」

こちらがのらりくらりとかわすだけではこの虎は食らい付いてはくれない。彼には時折牙を剥いてくるぐらいの自我を持ってくれた方が、楽しみがいがあるというものだろう。

「ビャクガ、」
「何だ」

「……いいえ、何でもありませんよ」

触れていた手を離し、いつものように軽く笑ってやる。
いつかいつか、その時が来たら。



(君をそこから引き上げてあげよう)



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -