赤白(BS二期)
「やっぱり、花のことはよくわかんねーや」
そう言って突き出されたのは薔薇が九本。意味はわかるが意図がわからなくて首を傾げた。
「どうしたんだい?君が花だなんて」
「果実に言われたんだ」
「「本数にも意味がある」と?」
予想でものを言ったのだが、どうやらそれは的中したらしく彼はわかりやすく頬を膨らませた。
花のことはある程度ならわかる。だが花に興味の無い人間なら花は色や季節、雰囲気で選ぶようなものだろう。
「勇貴は意味、わかってんだろ?」
「九本の薔薇は"いつも想っている、いつまでも末長く一緒に居よう"だろう?」
「わかってんなら早く受け取れよ!」
少し乱雑に再び突き出された薔薇を、今度はそっと受け取った。顔を近付けると鼻を掠める良い香りがする。
「ありがとう」
「どーいたしまして!」
少し拗ねたかと思えば、次の瞬間には嬉しそうに笑って、コロコロと変わる表情を見ているのが好きだった。自分には無いものだったから。
(おそらく薔薇の色は、無意識なんだろうな)
赤と白の薔薇は、きっとそれぞれの色をイメージしただけだろう。薔薇には色ごとに意味があるとも知らずに。
それでも俺はただ、嬉しかったのだ。
赤…愛情、情熱
白…私はあなたにふさわしい