円堂と基山(吉良)



※ヒロト二重人格設定
※吉良ヒロト捏造



ヒロトが練習中に倒れて、一番近くに居た俺が保健室に運んだ。ひょい、と抱え上げれば予想以上に軽くて心配になる。
だが症状はただの熱中症のようだ。だから少し休めば直ぐに良くなるらしく、部屋を出ようと立ち上がった所でユニフォームを掴まれ転びそうになる。それをなんとか堪えて振り返れば、辛そうな顔したヒロトが笑っていた。

「…楽し、い…でしょ?」
「ヒロト!?」
「ヒロトが、こんな…なって、君、は、楽しいでしょ…?」

違う。ヒロトじゃないヒロト。
俺の前でしか現れない、吉良ヒロト。

状況を理解したと同時に改めて掴まれた腕がミシリと痛む。

「ねぇ…俺…返、してよ」
「返すって一体何をだよ!?」
「ヒ、ロトは…俺のもの、だよ…?」

ひとつの身体にふたつの人格。
似ているけれど吹雪とは全然違う。他人同士の人格が、不可解なことにひとつの器に収まってしまった。それも、一人は一度死んだ者だ。



どうしたら、いいのだろう
自分に何が、出来るだろう

(答えを出すにはまだまだ時間が足りない)