シュウと白竜/パロ



※鯖煮(DS2A)パロ



数多の可能性という、眩い光を持つその存在。人間という星の数ほど多い種族の中からやっとそれを探し当てる。
「見付けた、輝く者」
砂漠の中から一粒の綺麗な石を探すように、海の底から煌めく貝を拾い上げるように、気の遠くなるくらい長い長い時間だった。しかしその中で僕はようやく見付けたのだ。僕の探し続けた、輝く者。
「だれだ、お前は」
分厚い本を持ったまま、ゆっくりと振り返る幼子。色素の薄い髪がふわりと揺れた。彼の足元に控えている悪魔が低い声で唸りを上げ、僕を警戒し続けている。
「憂う者、シュウ」
「どうやって入った」
「僕は人間でも悪魔でも無い存在だからね、空間を飛び越えることくらい簡単だよ」
「どちらにせよ、化け物にはかわりないな」
確かに、思い返せばこの屋敷全体には悪魔が簡単には入れないような結界が張られていた。しかしそれは悪魔だけではなく、一定以上の霊力を持たない人間の目からもこの屋敷を隠しているようだったけれど。
「輝く者。君は何という名前を持っているんだい?」
「……白竜」
いずれこの家を継ぎ世界を背負うであろう彼の姿は、まだまだ小さい。きっと彼ならこの先、たくさんの選択を繰り返しより良い答えを出してくれるはずだ。白く、眩い輝き。それは未来を指し示す道標の光にも等しい。そんな彼が望むのなら、少しずつ情報を与えてあげよう。
「ねぇ、白竜」
もう最初から決められていたことだ、審判の日は彼の世代でやって来る。果たして彼は、その日を生き残れるだろうか。
「人類は、生き残れるだろうか?」
「ぐもんだな。生きのこってみせる、そのためにおれがいるんだ」
勢い良く本を閉じてこちらを見据えるその眼は、綺麗な色だった。
(輝く者よ。どうか、どうか、)





(北天の星に抗っておくれ)