雨宮と白竜




ぴたり、繋いだ手を引いてくっついた。じわりじわりと触れた部分から伝わる体温がひどく心地良くて、つい寄りかかってしまいそうになるのを必死に抑える。

「な、何…?」
「お前は、温かいな」

そう言うとはにかみながら笑って、まるで猫のようにすり寄って来る。くすぐったいとは感じつつも嫌だとは感じなかったからそのまま好きなようにさせておいた。
ふと空いた手を鮮やかな髪へと伸ばし、くしゃりと撫でれば意図がわからないとでも言いたげに首を傾げた。

「今日の白竜、いつもと違うね」
「そうか?」
「うん」

何が、とは聞かなかった。そんなもの、今はどうでも良かったから。
心地良い体温を感じていると、やはり寄りかかりたい衝動は収まらずついにはずるりと隣に体重を預けた。日光をさんさんと浴びた、所謂天日干しした布団に潜るあの感覚を思い出す。

「…太陽の匂いがする」
「えっ、あ…そう、なの?」
「お前らしいな」

心地良さの海に溺れてこのまま眠ってしまいたい。ただそう思って瞼を閉じた。