雨宮と白竜



※勝手に幼馴染み設定





いつから、変わってしまったのだろう。



「雨宮っ、」

生憎今日は調子が良くないようだ。冷気が喉に刺さるし関節が痛い。不意に立ち眩みがしてバランスを崩しそうになったなら、白竜が腕を掴んで心配そうに僕の顔を覗き込んで来る。

「体調が悪いなら今日はもう帰れ」
「いや、大丈夫」
「何が大丈夫だ、そんな青い顔して」
「本当に大丈夫だってば」
「うるさい、いいから帰るぞ」

心配してくれるのは、気にかけてくれるのは単純に嬉しい。こういう少し強引な所は、昔から変わらないなぁ、と思った。
腕を引かれながら彼が監督に話をつけ、早々に今日は帰ることになった。日は既に傾き始めており、辺りが夕焼け色に染まるのも時間の問題だろう。そんな中を二人歩いて帰る。影がゆっくりと長くなり、少し手を伸ばせば彼に届きそうだ。

「風邪引かないように気を付けろよ」
「うん…」
「……雨宮?」

彼は変わらないはずなのに、いつこれは変わってしまったのか。昔は、違ったのに。何がきっかけだった?何がいけなかった?何が白竜を変えた?ぐるぐるぐるぐる、わからないことばかりで頭まで痛くなりそうだ。
僕が足を止めれば不思議に思った白竜が振り返り首を傾げる。「雨宮」と呼ばれる度に、何故か苦しくなる。

「…嫌だ」
「何が、」
「ねぇ、どうしてなの?」



「どうして白竜は、昔みたいに僕のこと「太陽」って呼んでくれないの…!?」

そう言うのが、今の僕には精一杯だった。