シュウと白竜




あぁ嫌だな、そうやって自己嫌悪することがしばしばある。
執着嫉妬に独占欲。どれを取っても綺麗なものではない。そんな汚いものを余すこと無く全て彼に向けてしまう僕は、なんて醜い存在だろう。

「僕は君のことが好きだ。だからこそ誰にも取られたくない」
「お前が臆病なことは知っている」
「もし誰かに取られるようなことがあれば僕は君を殺すから」

彼が僕以外の誰かのところへ行ってしまうのなら、僕は彼を殺してしまおうと思っている。出来るだけ綺麗なまま、そして僕も後を追って無理心中。大丈夫、独りにはしないから。
躊躇いも無くそんな頭のおかしいことを僕は言っているのにも関わらず、白竜はいつものように笑ってくれる。きらきら、綺麗な笑顔を僕に向けてくれる。

「でもそれを直接、お前の口から聞けて良かった」
「嫌にならないの?こんなこと言う僕に好かれて」
「ならないさ。仮にお前を狂っていると言うのなら、俺も狂っているのだろうな」

首を傾げて聞き返したなら、さもそれが当たり前かのように彼は言う。だから僕は堪らなく嬉しくなってしまい思わずキスをした。

「じゃあ僕らお似合いだね」

もう手遅れだ。開いた口から止めどなく零れる言葉は、この胸の中に渦巻く感情は、決して綺麗なものなんかじゃない。



吐き出されたのは醜い感情と薄汚い言葉の羅列。

(狂っていても構わない)
(僕は君を、取られたくない)