ゼロ組とDD組/パロ



※7Dパロ+捏造





竜の支配する領域にはフロワロと呼ばれる赤い花が咲き誇る。フロワロは死の花、それは人を殺し文明を殺し星を殺す。

「こっちだよ、天馬!」

渋谷、繁花樹海。かつての都会の姿を失った草木に覆われた街。手を引くシュウに連れられ、街の奥へ奥へと入っていく。
ついこの間までこの渋谷も帝竜の支配下にあった。精神を錯乱させる帝竜スリーピーホロウ、技にかかった誰もが仲間同士で殺し合うここはまさに地獄だった。

「この先に、見せたいものがあるんだ」

センター街を通り、渋谷通りを抜け、道玄坂の先にある駅前交差点。そこは別世界と言っても過言ではなかった。

「白い、フロワロが咲いてる…!」

目を疑った。帝竜を倒したら支配の証でもあるフロワロは全て消えて無くなるはずだ。スリーピーホロウはもういない、なのに花は咲いている。それも赤ではなく白に。
ふと振り返れば、後からゆっくりと来た剣城もさすがにこの現状には驚いている様子だった。

「不思議だよねー」
「えっ、何でそんな落ち着いてるの」
「…もしかして」

突然剣城が白いフロワロの中へ走り出す。花に気を取られて気付かなかったが、彼が走っていった先に人影が見える。

「白竜、やっぱりお前だったか」
「剣城!来ていたのか!」

白い花の中には、その名の通り白い白竜が居た。剣城の後を追って道を進めば再び花の多さと綺麗さに驚かされる。帝竜が居た時と花の数が変わらない、それぐらい広範囲に渡って咲いているのだ。

「帝竜を倒して数日後、何故かこの花が咲くようになった」
「赤いフロワロは毒を持っているけれど、この白いフロワロは無害なんだ」
「毒素と色素が抜けて白くなった、とか?」
「それだと花が咲いたことの理由にならないだろ」
「そっか、じゃあー…」

フロワロがどういう原理で増殖し、開花するのかはわかっていない。ただわかるのは花が咲いたそこは竜の支配領域ということだ。ならば、思い付くのはただひとつ。

「…フロワロが、白竜を渋谷の主と認めた…とか?」
「はぁ?」
「やっぱり天馬もそう思うよね!僕もそうだと思ったのに白竜ったら全否定するんだよ!?」
「当たり前だ!人間に同調してフロワロが咲くなんて前例が無い!」
「そもそもドラゴンの襲撃自体、この地球に前例の無いことだろ」
「貴様っ、他人事だと思って適当なことを…!」
「わからないじゃないか、あくまで可能性の話だよ。それに、」



「僕たちは彼らとは違うんだ」

シュウの一言に、俺は思わず耳を疑った。確かにシュウと白竜は俺や剣城の所属する機関とは別の個人によるグループで動いている。
でも何故か、彼の言葉はそれ以外のことを指しているのではないかと疑ってしまったのだ。

「シュウ、それってどういう…」
「言うな!」
「白竜…」
「お前等に、教えるようなことじゃない」
「…ということだから、ごめんね」
「う、うん…俺こそ聞いちゃいけないこと聞いたみたいで、ごめん」
「気にしないで、君は悪くないから」

シュウと白竜に知り合ってから暫く経つが、彼らのことを何も知らない。ZEROが何故ライモン機関を嫌うのか、それだけの能力を持ちながら何故"S級"として召集されなかったのか。
聞きたいことは他にもあったが、今それを問い質すのは何だか憚られた。





a flower which has bloomed out of season.(狂い咲き)