南雲と涼野



※09後期MRパロ
※左=南雲、右=涼野、刑事=基山
※ほぼ会話のみ



時々あいつはどうしようもないことが気になり、地球の本棚に入り浸ることがある。そして今だってそうだ、出て来たと思ったら休む間も無くホワイトボードいっぱいに文字を連ねている。
書き終わると同時にきらきらした目をこちらに向け、そこから始まるお決まりのマシンガントーク。

…誰だあいつに余計なこと教えたの、ヒロトか?

「知っているか晴矢、池の上本寺にある五重塔について」
「はぁ?知らねー」
「あれには十二支のレリーフが一重の所にあるのだが、入口がある階段の位置に当たる動物は酉なんだ。そこから時計回りに戌、亥、子…と続いており、一面に三枚ずつある」
「へー」
「でも考えてみてごらん?通常なら十二支というものは子から始まり亥で終わるものだ、ならば入口に当たる動物は子が適切だろう。それなのに何故酉なのかということだ。そこで気になって検索してみた!」
「ふーん」
「かつて昔から東西南北は十二支によって示されていた。鬼門がある北東の方角は丑と寅の間、すなわち艮の方角とされている。つまり池の上本寺にある五重塔のレリーフはその方角に沿って配置されている、だから入口は南の為動物は酉なんだ!」
「…なぁ、」
「しかもあの五重塔は江戸幕府二代将軍徳川秀忠公が寄進したものなんだ。これはまだまだ検索の余地がありそうだねぇ」
「なぁ、」
「それに五重塔といえば下野国日ヶ光にある東の宮だが、あれは正面のレリーフが右から左に向かって寅、卯、辰となっているが先程と違って方角とは関係なく、単純に初代から三代将軍までの生まれ年の干支なんだ」
「風介、」
「どういうことかと言うとだね、初代家康公は天文11年1542年の壬寅年生まれ、二代秀忠公は天正7年1579年の己卯年生まれ、三代家光公は慶長9年1604年の甲辰年生まれだから――」
「風介っ!!!」
「な、なんだ晴矢」
「…日本史好きなのか?」
「いや、別に」
「そうか…」

強制終了させた内容は今日もまた頭が痛くなるようなものだった。
歴史ものはいろいろと繋がっているから少しのつもりがかなり長い話になってしまう。聞いてるうちに眠くなってそのまま寝ていたらファングを投げられる。

そんなこんなで今日も長ったらしい話を聞いていたら本題を忘れた。

「あああああくそっ!!!」
「うるさい」
「お前の所為で何検索してもらうのか忘れただろ!」
「そんなこと知らないよ」
「わざわざヒロトに電話するのめんどいし…」

ぐしゃぐしゃと髪をかきむしったら不意に玄関のドアが開いた。そこから覗いたのは俺と似た赤髪。
思わずガッツポーズをした。





――――――

これこそ強制終了
相変わらず何がしたかったのかは本人もわからない

とにかく五重塔について語りたかった、らしい
五重塔の干支についての話は全て本当