南雲と基山と涼野




「何してるの?」

ヒロトが目の前で手を繋ぐ晴矢と風介に声をかける。二人はいわゆる恋人繋ぎをしていて、別段珍しい訳ではないがなんでこんな外で、と思わず首を傾げる。

「手を繋いでいる」
「見りゃわかんだろ」
「うん、それはわかる。でもなんで?」
「暑いからだ」
「俺は冷房寒いからだ」

そういえば見た目に反して晴矢は末端冷え性で、風介は年がら年中手が温かかった。それに気付くとなんとなく、自分もそこに混ざりたくなってしまいヒロトは二人の手を取った。
三人で手を繋ぐものだから必然的に円を描いてしまい、すごく動きづらい。

「確かに、二人はお互いが丁度だよね」
「ヒロト、デザート食べたい」
「俺アップルパイ」
「嫌だ。レアチーズケーキがいい」
「チーズケーキならベイクドでいいだろ?」

そんな二人のやり取りを見て不意に笑い出したヒロトを晴矢と風介は心配そうに見つめる。夏の暑さに頭までやられてしまったのではないかと心配で。

「あははっ、喧嘩しないでよ。どっちも作ればいいんでしょ?」
「「本当か!?」」
「声まで揃えて…二人が手伝うならいいよ」

その後立ち寄ったスーパーで晴矢が風介を楯に冷房と戦っていたのはまた別の話。