時を越えてたった一度

まだまだ模索中の子とかも出ます
要は私的めも




*とくがわとにわ


※某ゲームとうちの秀忠と長重
※終始捏造その2



目の前でがなる自分と同じ名前のこいつは先ほどまで怒っていたにも関わらず、ある人物の登場によって突然表情を変えた。

「…秀忠、何してんだ?」
「長重っ!丁度良い所に来た」
「はぁ?」

「これが俺の丹羽長重だ」

突如腕を引き、ぐらりと体勢を崩した身体を支えながら自慢気に笑うもう一人の秀忠が憎らしい。噛み締めた奥歯がぎしりと小さく音を立てた。

「何が"俺の"だ、馬鹿者」
「あながち間違いでもないだろ」
「大間違いだ!」

痴話喧嘩。目の前で勝手に行われるそれを見せ付けられ、再びぎしりと音が鳴った。
しかしその刹那、控えめに袖を引かれゆっくりと振り向けば彼が居た。

「また、そないなことしはったら口切れてしまうやろ」
「なんで…」
「わかるかて?あんさんのことやったら大概のことはわかるわ」

目の前に居るもう一人の丹羽長重よりも細身で私の大好きな丹羽長重がそこに居る。顔を見て、声を聞いたら我慢出来なくなってしまい、思わず抱きしめた。

「五郎左…好き、すごく好き」
「それ、いつも聞いてはる」
「何度でも言いたい、君が好き」

やっぱり私には、彼でなければいけないようだ。



12/07/03(Tue) 12:04




*おだとにわ


※うろ覚えのへうげパロ的な



『…金があれば誰だって欲しいわなぁ』

これはどうするべきなのだろう。
九鬼殿が造り上げた出来立ての船、毛利水軍対策に造られた黒く大きく強固な船。それを見た信長様の言葉に商人が小さくそう言ったのだ。事の善し悪しはわからない、でも主を侮蔑されたからとりあえず斬った。

「五郎左、早いな」
「いけなかったでしょうか?」
「いや、ただ弁解の余地ぐらいは与えてやったら良かったんじゃないか?」

加減はしていない。だから袈裟斬りされた身体からはもう生きている音がしなかった。
咎める様子は無く、むしろこの現状を楽しんでいるかのようにこの方は笑う。一先ず機嫌を損ねていないのならそれで構わなかった。

「申し訳ありません」
「お前が居たのにあんなこと言ったあいつが悪い」

「相手が五郎左じゃなければ、まだ生きていられたかもしれないのになぁ?」

知らない人は知らない、うちが故意に作られた欠陥品だということを。ほら、古田殿だって驚いて物が言えないでいるじゃないか。

「…古田殿、驚かせてすみません」
「い、いやっ…実に見事な太刀筋でございました」
「所詮人形の為したこと、大目に見てやって下さい」
「人形…?」
「はい、うちは信長様の忠実なる人形ですから」

あの方の命令ならば例えどんなことでも。拒否するという選択肢は最初から存在しない。
声が聞こえたなら、止まるな。



12/04/24(Tue) 22:25




*とくがわとにわ


※某ゲームの秀忠とうちの秀忠と長重
※終始捏造



「なんだこの貧弱そうなのは」
「誰だこいつ」

目の前には"徳川秀忠"を名乗る人物が二人。一人はやたらふわふわした自分もよく知る秀忠、もう一人は大きな得物を背負い上から物を言う秀忠。
見た目だけで話をすれば、どう見ても上から喋る彼の方が強そうだ。そんな彼らは聞いている限りくだらない話を続けている、らしい。

「五郎左、私がこんなのだったらどうする?」
「うちに話を振らへんで欲しいんやけど…」
「こんななよなよしてんの使えないだろ」
「そないなことはうちが決めることやあらへんわ」

お前が徳川秀忠だなんて認めない、そんな話らしい。自分としてはそれより同じ"丹羽長重"に会ってみたいのだが、生憎近くには居ないようだ。
きょろきょろと周りを見渡していたなら突然ふわふわした方の彼に捕まえられる。

「でも私の方が五郎左のこと好きだもの!」
「はぁ!?俺の方が好きだからな!」

また話題が変わって今度はどっちの方が"丹羽長重"を好きか、といった話みたいだった。うちはといえば、これ以上この二人に関わりたくなくて早く帰れる方法を必死に考えていた。



12/04/16(Mon) 12:29




*むらかみとみぞぐち



「溝口っ、」
「何か?」
「お前、本当に堀殿に言ったのか!?」

話がいきなり過ぎて何を、とは一瞬思ったが、すぐに彼が言いたいことは理解出来た。

「…あぁ、はっきりと申し上げておきました」

「私の主は貴方じゃない、と」

私の主君はただ御一人、後にも先にも丹羽長秀君だけだから。
だから勘違いしないでいただきたいとあらかじめ告げておいた、それだけだ。

「お前はそうだけど、口にするべきこととそうでないことがあるだろ」
「本当のことですから、隠しておくよりいいかと思いまして」

目の前で困り顔を浮かべる村上殿は何か言いたそうに口を開いたが、結局は何も言わなかった。そうやって何も言わず、上辺だけの関係でいた方が良かったのかと問われればそんなことも無いだろう。
主では無いとは言ったが、必要とあればもちろん手は貸すし嫌っているわけではない。

「長秀君以外なんて、」

ただ本能があの人以外を拒否する。それを無視して無理矢理認めてしまったなら、私は私を殺すことになるだろう。
やらなければいけないことがある。あの人の分まで多くのものを見て、結末を見届けなければ。



12/03/24(Sat) 20:02




*おだそうへき



感覚が鈍る。頭がくらくらし始めて、もう全てがどうでもよくなってくる。

「あ、ふ…っ、」
「…長秀」

どれくらいこうされているのかわからない。いきなり壁に押し付けられ、無意味に人の唇を噛んでいるのかと思えば時々不意に僅かな隙間から侵入される。そうなってしまうともう抵抗してもほぼ無意味で、ただ為されるがままになってしまう。
このままではいけない、そうは思っても身体が言うことを聞かないのだ。申し訳程度に抗うことしか出来なくて、小さく押し返す。

「…権、六は……んっ」
「今日は、加減出来ないかもしれん」

離れると同時に二人を繋いだ透明な糸がプツリと切れる。
さらりとそんなことを述べた彼の目はいつもと色が違って少しだけ恐怖すら感じたが、しかしそれも一瞬のことだった。



12/03/23(Fri) 05:27




*とくがわとうえすぎ



「ねぇねぇ、鳴いてみて」
「…何でしょうか、唐突に」

彼の何気ない仕種はあんまり懐いてくれない犬みたいで、実はすごく気に入ってる。下手に媚を売るそこいらの人間より、こうしてくれた方がいい。嘘をつかれていないとわかるから。

「"わん"って鳴いてよ」
「え」
「ねぇ、鳴いて」

媚を売る人間は嫌いだ。そういうのは大概自分のことしか考えない低能な奴らだから。
でも彼は違う。自分が好ましくないと思えば二つ返事なんて絶対しないし、返答に悩んで言葉を詰まらせることだってある。
今だって本人としてはやりたくないのだろうけれど、私の機嫌を損ねたくないから必死に頭を回転させて考えているのだろう。

「上杉弾正殿、」

でも鳴くよ、彼は。自分の体裁よりも家が大事だから。
前言撤回を望んで綺麗な目がぐらぐら揺れるけれど、そんなことしてあげない。面白いからそのままにこりと笑って黙って見ていれば、暫くして諦めたらしく彼がゆっくりと口を開く。

「――…わん」

小さな声、でも小さいながらはっきりと聞こえる声で鳴いた彼。そんな可愛らしい鳴き声を聞いたら顔が緩むのが自分でもわかる。楽しくて仕方ないのだ。

「ふふっ、よく出来ました」

犬の耳があったらこの辺りだろうか。そんな頭の上の方をふわふわと撫でる。
あぁやっぱり彼は、愛しい私の狗。



12/03/10(Sat) 11:23




*とくがわとうえすぎ



様子がいつもと違うのは、今日会った時から感じていた。

「上杉弾正殿、」

普段より小さくて弱々しい声、ゆっくりと伸ばされた手を取った。そうすることが正しい気がしたから。

「如何されましたか」
「ねぇ、何もしないから…もっと近くに、来て」

取ったのと反対の手に顎を掴まれ、そっと触れるだけの口付けを与えられる。
一歩、また一歩と距離を詰めて、膝を付き合わすほど近くなった途端、抱きしめられた。

「公方様…?」
「…生きてる、温度だ」

きっと何も言わなくていいと思ったから、ただ体重を預けて目を閉じた。
確かに生きている温度を感じる。

唐突に見せてくれた、今まで知らなかった弱い一面。
私はきっと、貴方をこれまでより好きになれる気がする。



12/03/04(Sun) 23:07




*とくがわとうえすぎ



この記憶能力は、一体いつまで貴方のことを覚えていられるだろうか。悲しいくらいに貴方の温もりも声も、もう鮮明には思い出せないのだけれど。

それでも、貴方のくれたたくさんの想い出を胸に、我はもう貴方の生きた年月よりもずっと先まで生きています。
貴方が命を懸けて作り上げてくれた、この世界を謳歌しています。

「…ど、どどして、泣いての…?」

でも、やっぱりどんなに幸せでも、時折欠けた心がギシギシと音を立てて喚くのです。埋められない隙間を凍えるような風が通り抜けるのです。

「もう帰らないものが、あるから…」

心配してくれる優しい声を聞き、抱きしめてくれる暖かい腕を感じながらも、我は貴方を想って今も泣くのです。
この腕が貴方だったら、この声が貴方だったら。何度そう思ったことでしょう。

(我の世界に、ただ貴方だけが足りない)
(貴方の代わりなんて存在しない)



12/02/02(Thu) 23:38




*かんべとにわ



気付いた時にはもう、彼の髪は長かった。そして父に言われたのだ、『あれは俺のものだ』と。
絶対に手に入れられないとわかっている。でも自分には特別に許されていることがたくさんあるのも知っていた。

「ちぃは、どうして髪を伸ばしているんだ?」

長い髪にゆっくりと口付ける。
こうして触れることも、彼を愛称で呼ぶことも、自分だけに許されている特権。

「そうやなぁ…信長はんが、ゆうたからやろか…?」

こちらの行動を特に気にするでもなく、彼はふわふわと笑うのだ。戦となれば鬼と称されるほどの働きぶりなのに、普段からはそんな姿は微塵も想像出来ない。
全ては父のために、全ては父のもの。父の言葉は、絶対。

どんなに欲しいと願っても、この手は届かない。泣けるものならいっそ泣いてしまいたいような現実だった。



12/01/28(Sat) 14:25




*とくがわとうえすぎ


※09MRパロ



世界が、自分の存在を否定する。

「ここも、違う…」

現像したばかりの写真を見て溜め息が出た。ピントの合わない歪んだ写真。
使い終わったネガをフォルダにしまいバツ印をつける。この作業を一体何度繰り返したことだろう。

「あー、やっぱりここにいたららー」
「…また来たの」

ニコニコと笑う彼は、自分の何を知っているのだろうか。好きな食べ物?過去の自分?それとも、本来在るべき世界?

「つれないなぁ、い、家光は君のことと気に入ってるだけど」
「我は貴方に興味無い」

暗室を出た所で腕を掴まれ振り向かされる。相変わらず彼が何を考えているのかさっぱりわからない、理解するつもりも無いけれど。

「好き、定勝殿」

興味は無いけれど、掴まれた腕は何故か振り払えなかった。



12/01/27(Fri) 07:52





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