泡沫 | ナノ




「おう! 悪かったな、なまえ」
「大丈夫だよ、」

って言っても、わたしじゃあ泣き止ませることも出来ないんだけどね
と、付け足せば苦笑する雷電くん

「そうだ、雷電くん」
「ん? なんだ?」
「今日の晩ご飯は?」

雷電くんは片手で野菜の入った籠を担ぎながら、もう片方の手で弟くんたちを宥める
逞しいなぁ
わたしには、あの重い籠をもつことも、みんなを満足にあやすことも出来ないもの
やっぱり、お兄ちゃんなんだもんね

「今日は…、肉じゃがだ」
「あんちゃんほんとー?」

さっきまでの泣き顔は何処へやら、にっこにこの笑顔でにーくじゃが、にーくじゃが、と歌いながらお家へ入っていく弟くんたち
嬉しそうに歌う弟くんたちが可愛かったのと、
雷電くんのつくる肉じゃがが美味しいから
わたしも、思わず頬が緩んでしまう
幼い弟くんたちに合わせた、少し薄口の甘い味付けなんだけど
実は、わたしのすっごい好みだったりして
楽しみだなぁ、

「おう、じゃあ気合い入れてつくらなきゃな」
「………、っ…も、もしかして、」
「口に出てたぞ」

ま、なまえは表情にも出やすいから、わかりやすいんだよな
なんて、言われ
弟くんたちをあやすのと同じように、頭を優しく撫でられた

「わ、わたしは雷電くんの妹じゃないよ…っ」
「なんだなまえ、照れてんのか?」

にやにやと笑いながら、一向に撫でるのをやめる気配がない雷電くん
そんなわたしたちのやり取りを見ていた弟くんたちが寄ってきて

「あんちゃんとなまえねーちゃん、なかよしー!」





うれしくて、うれしくて

あたたかい心と、あたたかい匂いで包んでくれる






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