泡沫 | ナノ



「家族として好き、もあるけど
わたし、こんなにドキドキするの、」

―――雷電くんだけだから

いい逃げ、だった
なまえはそう言うと、すーすーと寝息をたてて寝てしまったのだ
反対に俺は、正直頭がついていかなくて
隣に居るなまえのせいで、一向に休まらない鼓動をどうしようかと考えていた
いや、止まったらしんじゃうわけだけど

「ありがとな
俺も、好きだぜ」





出来るだけ平常心を保ちながら、なまえを看病し、普段の生活に戻る
なまえもその話を持ち出してこないから
やっぱり、あれは熱が起こした幻だ、よな

「雷電くん」
「なんだ?」

弟たちを隣のおばさんに預け、なまえと並んで学校へ向かう

「わたし、寝ながら考えたんだけど」



やっぱり子どもはいっぱい欲しいよね



「え?」
「それで、わたしが一生懸命勉強して、たくさん働くから」



だから、雷電くんはわたしに毎朝お味噌汁を作ってください



こいをした

(お前、それプロポーズ…
うん、本気だよ

わたし寝たフリしてたの
え、…もしかして
うん、ばっちり聞いてたよ
お、お前なあ!

大好き
…俺もだ)






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