泡沫 | ナノ




「…それで?」

弟たちに夕飯を食べさせ、風呂に入れて寝かしつけた
なまえはあれから、きょろっと元に戻り、いつも通り明るく話し始めたんだけど
二人きりになった途端、悲しそうな顔で、塞ぎ込んだのだ
おいおい、俺はどうしたらいいんだ

「おい、なまえ?」
「…雷電く、ん」
「おッ?」

なまえが、倒れこんできたのだ
え、なんだよこの状況

「どうしたんだよ」
「あ、…うー」
「おいなまえ?
疲れたのか?」
「そ、じゃなくて…」
「じゃあどうしたんだよ?
! ……もしかして」

―――熱、あるのか

たぶん、と弱々しい声を漏らしたなまえの額に手を当ててみれば、…熱い
顔もほんのり火照っている
おいおい、何で気づかなかったんだよ、俺
ずっと、誰よりも一緒に居たじゃないか

「わるいな、気がつかなくて」
「………雷電くんの、せ、いじゃない…から」

「ちょっとはしゃぎすぎちゃったかなあ」と、苦笑したなまえを、布団に寝かせてやる
体調が悪いから、抵抗する力もないんだろう
俺が弟たちにするように抱き上げても、少し恥ずかしそうに身を捩らせただけだった

小さな頃から、いつも何かしら遊んだりしたあとは、なまえは体調を崩す
少しぐらい、加減を知れと怒ったこともある

「まったく、相変わらずだな」
「えへへ」
「…なんで笑ってるんだ」
「だって、こういうときくらいしか」

―――雷電くんを独り占め出来ないんだもん

「…」
「今日、綱海さんと遊んで気づいたの
やっぱり、雷電くんと一緒にいるときが、一番楽しいんだ、わたし」

俺が掛け布団を掛けてやった手を、熱っぽいなまえの手が掴む
え、もうなんだよ
きっとなまえは無自覚に言ってるんだろ?
俺はどうしたらいいんだ

「わたし、雷電くんが好きです」





いとしくて、いとしくて

夢じゃないのか、思わず頬を抓った





- 9 -




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -