「おいなまえ、早く来いよ マリカやろうぜ」 吉良家のリビングにある、大画面テレビには既にゲーム機が繋がれていて。 お風呂からあがってきてぽかぽかしているわたしを、テレビの前に座る晴矢は自分のコントローラーを握り締めながら、早くと急かす。 「待って待ってッ」 「早くしろよ 俺、お前来るまで全勝でつまんねぇの」 晴矢の隣に座って、コントローラーを握ると、画面はコース場に変わっていた。 え、コレ途中じゃん。 それに走ってるし。 急いでコントローラーをちゃんと握り、ボタンを押し操作する。 画面を見ると、最下位で走っているルイージ。 振り替えると、後ろのソファでがしがしと自身の前髪かいている風介。 風介いらいらしてるね、きっとコレ、風介のやりかけだ。 「なまえ、私の敵を取ってくれ」 「分かったよ、風介!」 わたしは風介に向かって小さくガッツポーズをすると、隣で晴矢はにやにやと笑う。 「へへっ 俺の連勝記録、なまえに破れるかな」 「むかーっ!」 夏の夜はふけていった。 |