吉良家のダイニングキッチンから見える、ふわふわの可愛いソファ。 よく見れば、赤いチューリップと赤い猫耳がぴょこぴょこ跳ねているように見える。 けたけた、わーわー言ってるところから、テレビを見てるんだろうな。 その姿を気にもしていないのか、皿洗い担当の風介はスポンジに泡を立てて器用にお皿を洗っていく。 その姿を黙って後ろから見ていたわたしは、風介から洗ったお皿を受け取り、丁寧に拭いていく。 別にわたしの仕事なわけじゃないんだけどね。 頑張っている人は、手伝いたくなるじゃないか。 それにしても、あぁなんだろう、このフィット感。 風介はただお皿洗っているだけなのに。 なんか様になっているのはなんでだろう。 あぁ、顔がいいからか。 それだけじゃ無い気もするんだけどなあ。 「絶対風介は、いいお嫁さんになるよね!」 「……」 「…………ごめん、なんでもないから、冗談だから だから風介、無視しないで」 「…寝言は寝て言え」 男の子にお嫁さんは失礼だったかな。 「掃除も洗濯も、皿洗いだって出来ちゃうし 料理だって、本当はちゃんとしたもの、作れるでしょう?」 「あいつらがやらないから、必然的に出来るようになっただけだ」 「そうかもだけどさ 家庭的で且つ優しいなんて、結構ポイント高いよ?」 「…わたしは優しくなんかない」 「そうかなあ 風介が持ってる小さなことまで気がつける優しさ、わたしは好きだよ」 耳が赤くなった風介は、風邪でもひいているのか、心配になった。 |