夏JUMP! | ナノ



「あれ、晴矢また焼けた?
ヒロトと風介は相変わらず白いね」
「なまえも、黒くなったんじゃねーの?」
「人が気にしてることを…!」

居間に通され、さり気なく荷物を持ってくれたヒロトにお礼をいい、風介が準備してくれた座布団に腰を降ろす。
小さな頃から、晴矢は喧嘩相手のようなもので。
去年辺りから、わたしが女の子だから気を遣ったのか、過激な攻撃や悪戯はしてこなくなった。
今更かよ、と思ったけど。
晴矢と同じ赤色の髪をしたヒロトは、滅多に怒ったりしないし、賢いし、優しいお兄ちゃんのような存在。
いつもにこにこしていて、それなりに顔がいいものだから、被害にあった女の子は多いんだろうな、と思っている。
雪のように透き通った髪で、いつも何処かクールな風介は、晴矢の喧嘩相手1号。
わたしがいるときは、二人で攻撃を仕掛ける。
晴矢曰く、わたしたちのコンビネーションは最強らしい。
だって晴矢と違って、風介は優しいもの。

「あ、なまえちゃん、なんか飲む?」
「さすがヒロト、ありがとう」
「俺コーラな!」
「自分で取ってこいチューリップ」
「あんだと、寝癖頭
お前こそ自分でいけ「私は麦茶でいい」おい」

一人で大変そうなヒロトに、一緒に行くと声をかけると、またふにゃりと笑った。

「まぁ、いつもあんなだから、慣れてるけどね」
「…お疲れさまです」

ヒロトと一緒に長い廊下を通り抜け、台所に向かう。
何年も来ているから、お屋敷で迷わなくなった。
まだ時々、迷子になるけど。
ヒロトと一緒に台所に着くと、ヒロトが冷蔵庫を開けたので、わたしはグラスを戸棚から取り出した。

「なまえちゃんも、そのうち慣れるよ」
「慣れたくないけどね」

今年は、なんと夏休みフルで吉良家にお泊り。
そして夏休み後半は、叔父さんも仕事で居なくなるらしい。



大丈夫か、わたしの夏休み。





 



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