「久しぶり」 吉良星二郎というのは、わたしの叔父にあたる人で 基山ヒロト、南雲晴矢、涼野風介というのは、わたしのいとこ。 名字の違う三人のいとこ。 それは三人が孤児院で育ったからで、まったく血は繋がっていない。 三人が小さい頃、奉仕活動に積極的だった叔父さんが頻繁に訪れた孤児院にいた。 叔父さんに特に気に入られていたらしい三人は、まとめて引き取られたのである。 わたしの住む家とは二時間ちょっとの、自然に囲まれた緑の町に、吉良と表札のかかる大きなお屋敷がある。 それが、叔父さんといとこ達が住む家。 毎年大きな休みがある時は、家族でお泊りさせてもらったりして。 優しい叔父さんと大きなお家が羨ましくて、泣いた覚えもある。 三人とわたしが同い年だからか、結構仲が良かったりもする。 わたしは彼らと比べたら都会に住んでいるわけだけど、財政面からすれば、吉良家とは比べものにならないくらい、貧相だ。 それなりに、普通に暮らしてはいるけど、うちと違って吉良家は大金持ちである。 「おう、久しぶりだななまえ」 「いらっしゃい、なまえちゃん」 「おい晴矢、そこはなまえの席だ、退け」 今年の夏休み、例年通り、吉良家に泊まりに来たのだけど、今回はわたし一人。 両親は、わたしを叔父さんに預ければ安心だと、二人で旅行に行ってしまった。 わたしの夏休み。 |