「ほ、ほんとにびっくりしたんだから…ッ!」 「こっちがびっくりしたよ」 「みょうじ先輩、怖いものダメなんですねー」 可愛い後輩は、転けたじろくんやわたし、こーちゃんの話を聞くと、楽しそうに笑った。 こっちは冗談じゃないくらい、怖かったんだから。 それでも、懐中電灯を持っていた二人も、屋上へ行くらしいので、一緒に行くことになった。 あの不気味な音の正体も分かったし、懐中電灯もあるし。 何より、大人数のほうが、心強いもの。 安心して、進める。 「じゃあみょうじ先輩、手ェ繋ぎましょう」 「うん」 「洞面が相手なら、躊躇いなく答えるんだな」 「え? 別にこーちゃんが嫌だったわけじゃないよ?」 「源田せんぱい、嫉妬っすか?」 「まぁな」 うわぉ。 「こーちゃん、怖さでついに頭イカレタンジャナイノ」 「片言になってるなまえの方が、心配だ」 さ、さぁ、気を取り直して。 怖くなくなったわけだし、屋上へ行こう。 あのいとこ三人組が待ってる。 「でもさ、階段多すぎるよ」 「しょうがないだろう 校舎がデカイんだから」 「………エレベーター使えばよくない?」 「校舎内すべての電気が消されてるんで、エレベーターも動きませんよ」 「へー」 「みょうじ先輩って、何処か抜けてるとこあるよね」 「さっきからしゅーちゃん、気にしてることずけずけ言わないで 本気で落ち込むから」 「はぁい」 ぎゅうーっと抱きついてきたしゅーちゃんに、うん可愛いからよしよしと頭を撫でて、許してあげると、反対側から抱きついてきたじろくん。 うん、まぁいいや、可愛いから。 さっきから妙に違和感があったのはこれか。 え、でも抱きつかれるのに慣れてるってどうよ。 わたしは両手に花の状態で、やっと屋上へ着きました。 |