「い、行くぞなまえ」 「………うん」 馬鹿いとこ三人組(やっぱり風介は除く!)が突っ走っていったので、残されたわたしたち帝国組。 じゃんけんでもして、順番を決めようと思っていたら、くいっと何やらこーちゃんがじろくんを手招きする。 こーちゃんに何か耳打ちされたじろくんは、ぐっと拳を握り締めて、先頭で入っていくではないか。 ほら、やっぱりじろくんはかっこいい。 「なまえ、ほら」 「え?なに」 「手、繋がなくていいのか」 「…つ、繋ぐ」 わたしを囲むようにじろくんとこーちゃんは歩いてくれる。 こーちゃんの大きく角張った左手に、わたしの小さな手は包まれていて、なんだか安心した。 さすが帝国のままん。 包容力がある。 「階段…登るの?」 「屋上なんだから、一番上だもんな」 「なんか、上の方、見えにくいんだけど」 なんで電気を点けないかは、より花火を楽しむためだとか先生は言ってたけど。 嫌がらせにしか思えないのは、うん、しょうがないよね。 「いてっ」 「うわッ、ちょっとじろくん転けないで…!」 ―――――カン、カン…、カン‥―― そのとき、混乱するわたしたちの耳に、不気味な音が響いた。 (ちなみに、佐久間はなまえが好きで、それを源田は知っています だから、かっこいいとこ見せたいらしい) |