「なまえー っておい風介、さり気なくオレの綿飴食うんじゃねぇ!」 「…探したぞなまえ」 「風介、無視すんなし」 「えー、わたしが悪いの? 勝手に居なくなったのそっちじゃん まぁ、風介はいいけど」 「…オレなまえには文句言ってねぇんだけど」 「「晴矢うるさい」」 「ハモんじゃねぇえッ!」 屋台の営業時間終了のチャイムが鳴り、わたしたちのたこ焼きも丁度完売した。 こーちゃんに誘われたので、最後の出し物である花火を見に行こうと場所取りに向かっていたとき。 忘れ物を見つけました。 「なまえ、誰だ?」 「あーうん、えーっと いとこの晴矢と風介だよ」 「…似てないな」 「は、風介なんかと似てたら、俺生きてけねぇよ」 「晴矢いいすぎだよ」 二人が名字の違う、わけありのいとこだとこーちゃんに説明すると、少し間をおいて「なるほどな」と言ってくれた。 物分かりがいい子は助かるよね。 悪い例としてあげるなら、みっちゃんとか晴矢とか。 未だにわたしの腰にくっついて、泣き止んだようだけど黙っているじろくんは、まるで品定めをするかのように二人を見ている。 「二人は楽しかった?」 「そうだ、聞いてくれよなまえ ヒロトのヤツ、一分も経たないうちに居なくなっちまってよ」 「お陰でこの単細胞と行動するはめになったんだ」 険悪なムードになる前に、わたしは「二人は一々喧嘩になるようなこと言うのやめようね」と静を出す。 度々喧嘩になりそうになるところを止めながら、話を聞いていくと、どうやらヒロトがはぐれたらしい。 歩きながら会話をするわたしたち。 器用にも、くっつきながらも歩いて着いてきているじろくんに尊敬していると、こーちゃんが「なまえも大変なんだな」と慰めてくれた。 わたしの夏休みは、いろいろ起こるようです。 |