「あ、そうそう ありがとね、こーちゃん」 「ん? 何がだ?」 「こーちゃんがメールくれなかったら、夏イベのこと知らなかったし」 「なんだ、そんなことか」と、これはまた爽やかに笑ってくれたこーちゃん。 結局みっちゃんは意地をはって着替えさせてくれなかったので、じろくんは浴衣姿のまま。 わたしは売り子であるじろくんがきちんと仕事をするようにと、見張り…まぁ結果的に、こーちゃんとたこ焼きを売っています。 じろくんはずーっと腰にしがみついていて、なんかわたしが泣かせたみたいになってて。 正直いやです。 「う、ひっく…」 「じろくん、普段はすっごくかっこいいのになぁ」 「そうか? コイツはいつもこんな感じだぞ」 「ヘタレだからな」と、ははっと笑ったこーちゃんに、じろくんはきりりっと睨みつけていた。 うん、なんか可愛い。 「…可愛いっていうな」 「え? あぁ、ごめんごめん」 「佐久間、そういうわりには、照れてるじゃないか」 「ばっ、ばかか! 照れてるわけないだろ」 「…だそうだ」 じろくんは、ヘタレでツンデレらしい。 ムキになるじろくんが可愛かったです。 あれ、結局「かっこいい」じゃなくて「可愛い」になっちゃったみたい。 「で、花火大会ってどういうこと? 去年まで、そんなこと無かったよね」 「あぁ、よく知らないが鬼道財閥が絡んでるらしいぞ」 「打ち上げ花火、めっちゃ出るらしいぜ」 「キッドくん絡んでるの?」 わたしは何かを忘れている気がしました。 でも、わくわくと疑問で、頭と胸がいっぱいです。 |