土門くんのお隣さん | ナノ




07
「よーし!今日もサッカーやろうぜ!」
「一之瀬、それ円堂のパクリだから」
「やっぱりいちのせくんには
俺だよ★がいちばんしっくりきますよね」
「あ、やっぱり?」
「一歩間違えると俺オレ詐欺だけどな」
「俺からすれば土門のその腰が犯罪級だよ」
「それってどういう意味だよ」
「巡を夢中にしてはなさないどもんくんの腰は
巡にとっては麻薬級ですね!」
「それって、俺が悪いの?
てかそれ俺じゃなくて腰の問題だよな」

いつも通り、ほぼ毎回の休み時間にやってくる一之瀬は
窓の外に広がる快晴の空を見つめていたら、どうやらサッカーがしたくなったらしい
だからって貧乏揺すりはやめような、
折角きれいな顔立ちしてんだから

「あ、どもんくん」
「ん?どうかした?
………ああ、教科書忘れたの?」
「はい!」
「それは自信を持って言うとこじゃないからね」
「でも、さすがどもんくんです
巡のこと、よく分かってくれてます!」
「さすがおかん」
「誰がおかんだバカ之瀬
一ヵ月も経てば、さすがに慣れてきただけだって」
「それだけじゃ、ないと思うんだけどなあ」
「一之瀬、今何か言ったか?」
「ううん、なんでも」

珍しく秋の姿が見えなくて、心なしかテンションの低い一之瀬に
巡ちゃんは何処から出したのか、キャラメルを渡していた
巡ちゃん、なんかいろいろと敏感だよなあ
面倒見がいい、ともとれるけど
人の表情をよく見てるよなあ、
巡ちゃん自身は謎が多いけど

「秋ちゃんなら、さっきまもるくんと出ていきましたよ」
「へえ、」
「まもるくんのあの声のトーンからして、サッカー部絡みですね、きっと」
「円堂のこと、なんか詳しいね、巡ちゃん」
「慣れ、ですかね」
「慣れ?
…あ、もうチャイム鳴るね」

そろそろ授業が始まる頃だと、一之瀬は帰っていった
入れ違うように帰ってきた秋は、俺に今度の試合について説明をし始めた

「そうだ、巡ちゃんも見にくる?」
「サッカーの試合ですか?
まもるくんに誘われてるので、行きますよ」
「あ、そっか
巡ちゃんと円堂くん、幼馴染だったね」
「へえ、初耳」

ちょうど話していた時に、慌てて教室に駆け込んできた円堂が
盛大に転けそうに―――――なったのを、器用に円堂の腕を掴んだ巡ちゃんが
円堂を支えて、立たせていた
巡ちゃん、あんな小さい体の何処に人を片手で支えられるような力があるんだろう
気が付いたら秋は席に着いていて、円堂を支えていた巡ちゃんも
席に着いていた

「ああ、円堂の世話をしてたから
面倒見がよくなったのか」
「…うん?……巡のことですか?」

俺の独り言に反応した巡ちゃんは
何故か俺の筆箱の中身を、すべて立てていた
もう、気にしないよ俺

「そうそう
巡ちゃん、人のことよく見てるからさ」
「そうですか?
まぁ…まもるくんは小さい頃からあぶなっかしかったから、よくみてなきゃ心配で
その名残でよく人をみちゃうんでしょうかね」

あはは、と笑った巡ちゃんと俺は
周りが挨拶をするために立っていたのを気が付かずに
二人だけ座っていて、注目を集めていた

すると何を思ったのか
巡ちゃんは

「何がおかしいんだ、和希」
「松田っちがうさ耳付けたときの姿を考えてました」
「何考えてんだ」
「うぷっ…気持ち悪」
「まったく相変わらずの馴々しさだな、和希」
「さんきゅー」
「褒めてないからな」

またまた、今度は違う先生と漫才のようなやり取りをし始めた

ああ、もしかしたら
円堂の幼馴染だから天然なのかも





彼女の頭には、うさぎが住んでるらしい


今度は社会の松田に、巡ちゃんをどうにかしろと言われた―――――だから俺は保護者じゃないです





お題:ポピーを抱いて





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