10、過去における重大事故について(最重要機密)





※さらにここからはIVの判断で最重要機密になる。




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12月26日 00:00


ステラリウムに夢中になりすぎて、日付をまたいだ。
俺の体は夜になると体調を崩しやすい。
またあの熱がこみ上げてきた。

「トーマス、しっかりしろ……!」

凌牙に肩を貸してもらう形で、どうにか自室にたどり着いた。ベッドの上に崩れる。
呼吸が苦しい。
胸がどくどくいうんだ、止めてくれ!

「くそ……、やっぱり手術は中止すべきだった!」

凌牙は慌てて俺の服を脱がし、チョーカーから心拍数を読み取る。
凌牙は耳に取り付けてあるイヤホンと襟のマイクで研究室と連絡をとった。

「大丈夫だトーマス、医者を呼んだ。
チップは取り除く、必ずだ」
「りょうが……」

もう遅いんだ。
もう昔に戻れないくらい分かってる。
純粋な恋と光。
蝶を追いかけたくてまごついている少年のような、あの頃には戻れない。
人格を変えてしまうほどの男性ホルモンと性欲が、「トーマス・アークライト」を亡き者にする。

「トーマ……っ!?」

気がつけば、凌牙を押し倒して上から押さえつけていた。
プレゼントしたシルバーが、鎖骨あたりで揺れている。

「よせ!!気をしっかりもつんだ!!トーマ!!」
「俺だってそうしてぇんだよッッ!!!とめられるならそうしてる!!」

これは恋か、性欲か?
もう分からない、こんな気持ちのまま、凌牙を傷つけるのか。
凌牙の服を剥いで、胸を暴く。
一度だけちらりと見た事がある、あの胸。
丸みを帯びた胸は少女とも少年ともとれる、まさに中性的な美しさだった。これをずっと夢に見ていたんだ。あの日瞼の裏に焼きつけたこの乳首と胸で、何度 自分を慰めた事か!!
貪るように噛み付く。ああ、こんな味がするのか。これが凌牙の味なのか。
凌牙の悲鳴と、ベッドの軋み。

「緊急事態だ!!
トーマス・アークライトが錯乱してる!!人を寄越してくれっ!!」

凌牙が襟のマイクに向かって叫ぶ。
ここには監視カメラもある。彼の声は研究室にも響いているはずだった。

『おい、大切な完全XYサマを傷つけるなよ』

イヤホンから聞こえてきた声は、へらへらとせせら笑う男の声だった。
(あの時の、ガードマンの男。確か降格されたはず。)
凌牙は施設や研究所の職員に無断で俺を連れ出したらしい。
その報復なのか、普段からの性的ないやがらせの延長なのか。
この状況を皆がカメラで見ているはずなのに、誰も凌牙を助けには来なかった。

「待て……っ、おいふざけるな……!!誰かっ!!!」

震え上がった凌牙を見るのは初めてだった。
ベッドの上で、凌牙は足をばたつかせている。そこへのしかかり、容赦なく服をたくし上げていく。

「トーマ!!しっかりしてくれ!!とぉまーーーーッッ!!!」

泣いているのが見えた。
凌牙を、俺が泣かしている。
凌牙の乳首は男にしては少しだけ大きめで、舐めると乳頭がはりつめてツンと立ち上がる。
俺の乳首はほとんど平らで、刺激があってもほとんど変化しないのに、凌牙の乳首は女の子みたいだった。
白い肌のせいか乳首の色素も薄い。
ピンクがかった乳輪は唾液でべたべただ。
噛みつくと胸から肩にかけての筋肉がぴくんと痙攣するのが分かる。
男の胸がこんなにいやらしいなんて思ってもみなかった。俺は自分の胸を見てもなんとも思わないのに。

「はな、せよ!離せ!
どけ!!……トーマス!政府に報告されたいのか!」

逃げようとする足からズボンを引き抜いて、仰向けにさせる。
わざと凌牙の目を見ながら、にやりと笑ってやった。凌牙のボクサーパンツをさわさわと撫でる。
中にあるはずの膨らみは……ない。俺の期待ばかりが跳ね上がる。
この中、凌牙の一番恥ずかしい場所。それをこれから確かめてやるのだ。
凌牙がひっと、喉の奥から引きつった悲鳴を上げた。俺の人差し指が、足の付け根の間を探っている。
未知なるそこへ、つぅ、と指を滑らせると、蒸れた下着越しの中身をありありと想像できた。
凌牙が必死で俺の指を跳ね除ける。そんな行為すら俺を焦らしているようにしか見えた。
誘っているのだ、凌牙が俺に火をつけて、早く犯してくれと誘っている。
ウェスト部分に指をかけて、引きむしるようにずりおろした。凌牙が叫んでいる。必死に下着を下ろさせまいと抵抗する凌牙の腰から、一気にそれを奪う。
ビッ!と耳障りな音がした。どこか破けたのかもしれない。
凌牙の細い足首まで無理やり引き下ろせば、俺ももう我慢できなかった。
荒々しく足を開かせて、とうとう、その秘部を全部見てやった!
まず陰毛がない。
凌牙のそこには、つるりとした肌に割れ目があった。男性器は見られない。
肉体とはアンバランスの性器、そのぶん神代凌牙は完璧という存在に近くなる。
男よりも男らしく、女よりも女らしい。
ああ、想像以上だ!俺が頭の中で犯していたあの凌牙よりも、現実の凌牙はもっと……いやらしい体をしていた!

「見るんじゃねぇッ!」

凌牙からすればこの体は疎ましいのかもしれない。
自分のアイデンティティを悩ませる不完全な体。それが美しい。
割れ目を指で押し開けば、男性器の名残なのかクリトリスがぷくりと大きく主張した。
小指の先、二センチほどの核は、まだ赤ん坊の性器のようだ。
舌で転がして、丹念にぬらしておく。

「んんっ……、む……、ふぅ……!」

足を閉じようとするのを、無理矢理開かせた。
俺の力の方が、いまや凌牙よりも遥かに勝っている。
凌牙の指が俺の後頭部をかきむしる。
だが派手な抵抗がないところを見ると、以前の謹慎が影響しているのかもしれない。
博士であることは、凌牙にとって唯一の生き方だ。俺を傷つけてその免許を剥奪されるようなことがあれば、不完全XYの彼は自分の存在意義を見いだせないのかもしれない。

「い、痛っ……やめろっ、痛ぇんだよ……!この……」

未発達のクリトリスには、男の厚い舌は刺激的すぎるらしい。
凌牙が痛がらないように力を弱める。
充血した凌牙の芽を、唇と舌で愛撫する。俺が幼少からずっと教育されてきた性技。
さすがに実践するのは初めてだ。
女性型アンドロイド(この場合はアドニスじゃなくアプロディテだ)でシミュレーションのようなことはさせられたのだが、こんなに昂ぶった事はない。

「っ!やっ…、め、ろっ!!」

凌牙は太腿で俺の顔を挟みつけて抵抗する。
すべすべした白い内腿が頬に触れてたまらない。
歯型をつけてやった。
言う事を聞かない凌牙の内腿に、きつく吸いついて痕を残す。
肌が薄く、全体の中ではかろうじて肉のある部分だからか、よく痕を残せた。
凌牙からすればとても痛かったろう。
必死に周りを探り、ようやく掴んだ枕を俺の頭に向かって振り下ろす。
痛くなかったが何度か繰り返されてると邪魔で仕方ない。
自分のチョーカーを外し、それで凌牙の手首をベッド枠へ縛り付けた。
チョーカーが外れると研究室には緊急信号がいくはずだが(俺の心拍数を計っているものだから、外れると俺の心拍数は0という事になる)、これまで誰も助けに来なかったように今回もスルーされた。
監視カメラでこの状況はとっくに伝わっているはず。
誰にも気付かれないのではなく、気付かれた上で放置されている事が、凌牙の一番打ちのめしたろう。

「やめっ……誰か!いい加減にしろよ!!ふざけるのはやめろ!!
正気か!!」

なおも足を閉じる凌牙の、傷一つないまっさらな膝小僧を掴む。
両膝を力いっぱい左右に引き剥がして、勢いよく開かせた。この瞬間がゾクゾクする。
凌牙が激しく身を捩る。縛られた手首はチョーカーが食い込んで血が止まりそうだ。
俺のと比べるといくらか か弱い足をシーツに抑えつけて、さっきの割れ目を指でなぞってみた。
まず周囲からゆっくり触ってみる。
アプロディテとあまり変わりないように見えるけど、凌牙のそこは少し窮屈そうだ。二本の指で広げるようにして、開く。
真っ赤に充血した内部が見えた。
襞があまり伸びないそこは、押し開かれたり突き上げられたりした経験がないんだろう。初めてなのかもしれない。いや、そうに決まっている。
見つめられているだけで力が入ってしまうのか、割れ目はぴくんと震えていた。
分かりやすい大きめのクリトリスがひくつく。口の中に入れたくなる。
改めて唇で包んで、舌でつつきまわした。
舌先で軽くくすぐるのを、できるだけ素早く。

「んっ…はっ、ぁ、何してる!」
「ふ、……ん、、、」
「クソ野郎……っ、ぁっ、バカ、やめろ」

時々湿った息を吹きかけながら、じゅるじゅると音を鳴らして吸いつく。またくすぐる。
理性を失っているはずの俺が、周到な愛撫で凌牙を攻めているのは、徹底的な政府の性教育のおかげか。
俺が完全に慣れていることが、凌牙には余計に怖かったかもしれない。
だが怯えていた凌牙も、完璧に迫る愛撫に逆らえなかった。

「はっぁ、、ぁ、っ、あ、っ!!!こ、これ以上はよせ、」
「……っ、ん、はっ…はっ……」
「んんっ、ン!ぁっ、トーマス、頼む、やめ……っぅくっは、ァぁっ……!!!!」

必死に飲み込もうとする掠れた声。
途切れ途切れの呻きは本当に小さかったが、確実に色めいている。
シーツの上で踊る白衣。それに包まれた細い腰が、何度か浮いた。
凌牙は無意識に腰を揺らして、俺の舌にクリトリスを当ててしまっているのだ。
舌の動きにつられ、じっとしていられないほど股を疼かせている。
じゅぶじゅぶと洪水のような唾液の音。口の中に溜まった唾液を浴びせかけられ、凌牙のクリトリスがてらてらと淫靡に光っていた。
絶え間なく舌で転がされ、いよいよ声を上擦らせながら腰を跳ねさせる。
あの神代凌牙が!孤高の天才が、陵辱によって完膚なきまでに打ちのめされ、快感を覚えている!

「ぁっっっ……っっっ……!!」

頬を真っ赤にして、ぶわりと大きな涙を零す。
それは凌牙がイってしまった証だった。
大きくひきつった後、ぺたんとシーツに落ちた尻。だらんと開いたままの足。
そこの中心はさきほどよりも充血して、すっかり濡れていた。毛がないせいで見晴らしがよく、びくびく反応するのもよく分かる。
皮膚に覆われていない粘膜の部分、いわゆる内臓に近い部分だが、ちっとも気持ち悪くない。
アプロディテを相手にする時は気持ち悪く感じていたのに、生身の凌牙の方が綺麗だなんて、人間の造形美学も大したことがない。

「……も……、いやだ……トーマス……」

凌牙は呟いている。
数時間前は寄り添うようにして手を繋いでくれた凌牙は、今やぐったりと絶望していた。
でも俺は自分のものにしてしまいたかった。
月の上から見たあの青い惑星。
それと同じあの瞳を!

「ひっ?!」

凌牙の尻を持ち上げ、ひっくり返す。
凌牙は膝が肩につくほど抱えられ、逆さまの胎児のような格好になった。
腹が圧迫される、苦しげな表情。
腰と尻が天井を向き、背中まであらわになる。
高くなった割れ目を、また二本の指でぱくりと開いた。

「はっ……っゃ、、め……」

無理な体勢のせいで、凌牙は叫べない。
後ろへでんぐり返しをしているような体勢なのだ、あられもない姿だった。
曝け出された形の良い尻を、掌で軽く撫で、叩いた。
顔を赤くした凌牙が、短い悲鳴を上げる。
足で俺を蹴ろうとするのに腹が立って、何度か強く叩いた。

「ひっぐ、ぁっ……!離せ、どうしてこんなっ……」

もう凌牙のプライドは粉々だ。
真っ赤になった尻は熟れた果実みたいで美味そうだった。
二つの丘を覗き込めば、奥ゆかしい孔穴が見える。
誰も見た事がないだろう、凌牙の排泄器官。
尻の谷間に舌を這わせ、徐々にその穿孔を目指す。

「ふっぁ……」

谷間を這う湿った感触に、凌牙が青ざめていた。
滑り込んだ舌が、唾液の通り道を作りながらゆっくり、ゆっくりと、誰も踏み入れた事のない境地へ忍び寄る。
すべらかな谷間をたどり、硬く閉じられた襞へ。その感触を味わいながらとうとう、中心に出た。
きゅっと閉じられたままの後孔に触れた瞬間、尻が締まって谷間を深くする。可愛い抵抗だった。
前の割れ目を指で探りながら、舌で谷間をほぐす。

「ぁつ、ぁ、く、るし……っ!トーマ……」

がくがくと体を震わせながら、凌牙は情けない声を上げる。
次に来るであろう痛みが、賢い彼にはよく分かるに違いない。
俺はまず中指を前の割れ目を滑り込ませた。同時に後ろの穴へ吸いつく。

「んん―――っっ!!!」

凌牙の細い悲鳴。
足がばたついて、俺の肩を蹴り飛ばしている。しかし一度イってしまったからか体力をほとんど使い切ってしまったようで、俺を引き剥がすには至らなかった。
その隙に滑り込ませた指を動かしてみる。
じっとりと濡れた壁が指を包んだ。凌牙には未発達ながら膣口があるのだ。
Y染色体が機能できず、完全な男性器を形作るには至らなかった凌牙は、そのせいで男性ホルモンも分泌されず、自然と性器は女よりになってしまったのだろう。
膨らんだ二センチほどのクリトリスの下にきちんと尿道口がある。
(泌尿器と性器が一緒になった男のペニスとはまるで違う。俺の体は尿も精液も同じ穴から出るのに)
凌牙の外尿道口のさらに下、指を突き立てられたこの奥には、子宮があるのだろうか?
それとも。

「っあふ……っ」

尻穴を貪られながら膣口を掻き回されて、凌牙は歯を食い縛っていた。
指は次第に奥へ。
舌も同じく潜り込む。

「い、いやだ……いや、」

首を振って拒絶を示す凌牙。
根元まで指が入る。
しかしずいぶんと浅い膣だった。
子宮はあっても、機能していないのかもしれない。
指を前後させて中の壁をよくよく確かめた。
やはり伸びない。指をもう一本入れるときつそうだ。

「はっ、う……」

後ろの穴で蠢く舌と、前の割れ目を行き来する指。同時に二ヶ所を辱しめられて、凌牙は湿った息を吐いた。
侵入者を意識するまいとしているのがバレバレで腹が立つ。
指の抜き差しを激しくしてやった。

「ン゛んっ!!!」

じわっと一気に汁が零れる。
次から次へ、いくらでも湧いてでるように愛液が溢れて止まらない。
狭い膣の防御反応だろう、異物に対し中を傷つけさせまいとするその反応は、悲しくも指を受け入れる態勢を万全にする。
ベッドに水溜まりが出来そうだ。
凌牙の股はあっという間にぐしょ濡れで、透明な雫がが尻や太股に垂れ落ちている。
ぬぷぬぷと音がしはじめ、指の緩急をつけるとはしたないほど響く。襟のマイクが拾ってしまうだろう。凌牙の吐息もあいまって、さながらポルノだ。
若く美しすぎる博士の、初めての体験。
さらに指を増やして、めちゃくちゃに掻き回す。なおも噴き出す恥ずかしい雫が、すっかり凌牙を水浸しにした。まるで陸に引き上げられたばかりの魚みたいに。

「りょーが……」

もう限界。
ジーンズの前を寛げる。
俺のボクサーパンツは前が盛り上がって、すっかり染みが出来ていた。
それを下ろすと、飛び出すように現れた雄の証。
手術の影響で発育の良すぎるぺニスが、勃起してさらに固くなっている。
ここまで立ち上がっているのは自分でも初めて見た。
中腰になって、凌牙の割れ目にぴとりと当てた。そのまま竿でいくらか叩いてみる。
愛液のたまった割れ目から雫が飛んだ。
ぺニスで叩かれてぴちゃぴちゃと露をこぼす光景が、卑猥すぎる。
割れ目と尻穴がきゅんと反応して、男を誘っていた。

「!!!!っ、トーマ……!
そ、それだけはっ、」

下半身をひっくり返された凌牙にも見えたらしい。
今自分の股に宛がわれている巨大な雄。
今までで一番顔が歪んだ。
ばたばたと暴れ出し、半狂乱になって意味の分からない言葉を喚いていた。
尻をシーツの上に下ろして、M字に足を開かせる。
頭上で手を縛られた凌牙が、俺を見上げている。この世の終わりみたいな顔して。
奥歯がカチカチとぶつかり合って、救いを求める言葉が紡げない。

「や、やめ、……やだ、……いやだ……こんな……や……だ……」

そんな目をするな。
ますますハイになっちまう!

「……凌牙……!
よく見ろ、お前の初夜の相手を」
「や、…や…め、……さ、さ、触るな……いや……いや、だ……」
「世界中の男の、まさに頂点。お前には俺が相応しい……!」

亀頭で未完成の膣に乗り込んだ。

「っ――――ッ!!!!」

凌牙が叫んでる。声になってない。
体全部を捩って大暴れしてる。
この無駄な抵抗見てると、キスしたくなる!!
凌牙の体にかぶさって、細い首締め上げながらキスした。
のしかかった俺の重みで息が吸えず、凌牙はされるがままだ。
口を覆うようにして唇全部キスしてやる。顔中 俺の唾液まみれにしてやった。
前はうまくキス出来ずに凌牙の蹴りを食らったが、今はどうだ。
凌牙の裸まるごと、俺が組み敷いてる!

「一緒に大人になれて嬉しいぜ、凌牙……!」

ずぶりと突き刺したその槍で、凌牙の純潔に到達し、そのまま、もっと、腰を、押し進めて、


貫いた!



「ぅ゛っあ……―――――!!!!」

神代凌牙が純潔を喪失した瞬間!
この瞬間、自分が生まれた意味がようやく理解出来た気がする!

「っは、……はふっ、…っ、はふ……っ」

凌牙は固まったまま途切れ途切れの短い呼吸を繰り返していた。
抱き締めて折ってやりたい。

『おい、マジかよ!
本物の処女喪失なんか初めて見た!!』
『これ、絶対マズイって、うわ……』

抱き締めた凌牙の耳元から、屑の声がする。
イヤホンから漏れ出る研究室の音。

『神代博士、感想をどうぞ!』
『不完全とは聞いてたが下半身はほとんど女じゃねえか。
俺達みんな騙されたなァ』

俺に辱められている間ずっと、凌牙はこんな悪意を聞かされ続けていたんだろう。
隠しておきたかったカラダの秘密も、初めての体験と喪失も。全て職場に暴かれて、凌牙はもはや抵抗する気力を失っていた。
ぼろぼろに涙をこぼしながら、虚ろに天井を見つめている。
そんな凌牙の耳からイヤホンを引っこ抜き、襟のマイクも外して、ベッドから投げ捨てた。
背中からシーツを被って、二人だけの空間にする。

「……じっくり楽しもうな……」

耳元で囁く。
まだ半分も進めない。
さすがに凌牙のここは狭いんだ。こんなに濡れていても、凌牙の体はあくまで男と女の中間にある。
これ以上は無理と判断して、入らない部分を指で支えながら先端だけで凌牙を味わう。
動くと蜜が溢れて、汗と交じり合った。
この蒸れた匂いが好きだ。凌牙の体液の匂い。
じれったい動きで腰を揺らす。シーツの中、熱気がすごい。

「あっぁ、あっ、ァっ」

凌牙はもう、人形のように足を投げ出して無抵抗だった。

「んんっ、ぁぁん、」

無我夢中で腰を揺する。
開きっぱなしの凌牙の口からうめき声が聞こえてくる。
はぁ。もう何も考えられない。凌牙の体ってすごいんだ。
緩やかな上向きの坂を進むと、特に窮屈な場所があって、亀頭を進めるのに少し手間取る。
だが一旦そこを通れば、また引き返す時にそこが当たってきて、抜き差しのたびに先端の雁を引っかけてくるんだ。
男である凌牙は骨盤が狭い上に筋力まであるから、目もくらむような締め付け方をする。
ただきついだけじゃない、筋肉の収縮とほとばしる愛液で、向かってくる雄を丸々飲み込んで頬張る。
こんなに吸いつかれると、中の形や様子までペニスに伝わってくるんだ。
完全に挿入できたら、もう二度と抜きたくなくなるかもしれない。

「ぁっ……はァ……ッハァ……ッ!うッ……」

凌牙の上に重なりながら、俺も喘いでいた。
歯を食いしばってもその間から熱い息が漏れる。
とろけそうなほど美味な体だ。
あまりに刺激が強すぎて、腰の角度を変えようにも、下手に動けば射精するだろう。
どの方向に突っ込んでも狭い壁が絞ってくる。体勢変えるなんて、それこそこっちがイかされてしまう!

「んんっ……はっ、ぁ!」
「凌牙!俺、もう……降参……ッ」
「ンあぁっ、ぁっ、ふ、」

かくかく腰を振りながら、凌牙の狭い部分に亀頭をなすりつける。
痺れるほどの刺激で腰が砕けそうだ。
自分でも我慢汁を垂らしているのが分かる。
中で漏らしてるのかと錯覚するくらいどばどばと先走って、凌牙の体液と交じり合い、泡立っていた。
掻き回された泡が粘着質な音を立てる。
シーツは色が変わるくらいに一面濡れていた。

「っふぅっ、、はふ……っ!…んふぅう……っい、痛い……!」

凌牙の低い声は、掠れると妙に艶がある。
キスをしてその吐息や嘆きを吸い込んだ。
腰が止まらない。ずっと揺すり続けている間、自分の体を支える腕が痺れてきて情けない。
もっと激しく凌牙を貫きたい、その衝動に体が追いつかない。
体力には自信があったのに。

「出る……凌牙……っ、」
「や、やめ、ろ、っ、どいてくれっ……頼むっ、」
「ぁっぐ……、無理、」
「〜〜〜ッと、―――とおま、ぁっ……っ!!!!!」

ぶるりと大きく震えた下半身を、凌牙に押し付けた。
凌牙の中で、弾け飛ぶようにばら撒かれた精子。
その一滴一滴の感触を拾い上げ、凌牙は声を引き攣らせる。
俺は息を止めて凌牙の腰を押さえつけていた。
凌牙は首を振って悶絶している。そのせいか下腹部が痙攣し下半身の締まりを急激に高めた。
中の雄を持っていかれそうなほどの、いやむしろ吸い上げられているんじゃないかというくらいの膣圧に絞られて、背筋がぞくっとする。
亀頭にぴったりと纏わりつく具合の良さに、意識は朦朧としていた。

「っふ、、、ぅ……!!」

こんなに長く射精したのは初めてだ。
体が浮きそう、自分の体重がゼロになって、爪の先から髪の先まで快感が浸透していく。
精液を全部流し込こんでから、ようやく、息を吐く。

「ハァッ、ハァッ、」

息切れで咳き込みながら、それでも満ち足りた気分だった。
腰を引いて凌牙から抜け出そうとするだけで、恥ずかしい声が出そうになる。
べとべとに汚れたペニスが、凌牙の膣から引き抜かれた。
精子と愛液が混ざり合って糸を引いている。
凌牙は黙って泣いていた。
その光景がすごく絵になる。
開かれたままの足の間で、膣内射精された精液がとぷりと溢れ出した。
凌牙の浅い子宮の中で行き場を失ったんだろう。
荒い呼吸に合わせて上下している割れ目を伝わり、精液は尻の方へ零れていく。
ああ、まだそこがあったか。

「起きろ」

手首の拘束を外して、凌牙を起こす。
凌牙は目を開けているものの、意識を失っているようだ。心を閉ざしているといった方がいいのか。
この現実から逃避するのにはそれしかないだろう。

「ひっぁ゛……ぁ……!!」

うつぶせにさせた凌牙の尻に先ほどの精液を塗りたくって、またペニスを宛がう。

「ンああああ……」

だらしない声を上げながら、凌牙は俺の挿入を受け入れた。
後ろの穴もやっぱりきつい。でも、気持ちいい。

「こ、ここもすごいんだな、凌牙」
「ひっぁ、ぁ、っ、ぁ、ぅ、っ」

凌牙は息をするのもやっとだった。
前後の処女を一夜にして奪われて、彼の瞳はすっかりと濁っている。

「トーマスは……っあ、トーマスはこんな事っしない……っ」

凌牙はシーツに涙の染みを作りながら、喘ぎ続けていた。

「トーマスは……
俺の事を、綺麗だって…言ってくれた…こんな事、するような奴じゃ……」

俺は初めて凌牙の心を覗き見た気がした。
凌牙は多分、ずっと自分の存在を責めていたんだと思う。
国家的プロジェクトの一端として遺伝子操作の末に生まれたにも関わらず、結局はY染色体が機能しなかった。
男でもなく女でもない、自分という存在をどこに定義すればいいのか分からない。
自分が誰なのかをずっと探していた。
俺と同じ。
そんな凌牙だったから、俺のたった一言が救いになった事だってあったろう。
俺が凌牙の一挙一動に夢中になっていったように。
ただもう、俺にはその気持ちが分からない。
前みたいに、凌牙をたいせつにしたいって気持ちが見当たらないんだ。
今は単純に、お前を抱きたい衝動だけなんだよ。
出来る事なら孕ませて、俺の子供を産ませたい、原始的な欲が大きい。
俺も凌牙を犯しながら泣いていた。


さよなら、初恋。



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