03

黄瀬黒子



誠凜を日本一にするのはこの学校を受けると決めた時に既に思っていた事だった。
屋上で宣言し損ね、グランドに書いて、無事本入部となったはいいが、カントクがスキップで帰ってきた挙句、キセキを獲得した何処かと練習試合を組んだと言い出したのは記憶に新しい。
正直、抹消してしまいたいが。
誠凜と練習試合をするようなキセキを獲得した学校が、海常くらいしか思い浮かばない。
本当、爆発してしまえ。
ついでに言えば、先日のミスディレクションを披露した所為でカントクにキセキの幻の6人目だとバレた。


「6人目なのに取材来なかったの?」


そう聞かれ、その時の事を思い出す。
キセキに取材が来るのは珍しい事ではなかったけれど、あの時は6人目を探してたから、面倒臭かったし、赤司くんに頼んで隠れたんだったか…。
懐かしい。


「忘れられました」


そういうことにしておこう。


「海常高校と練習試合!?」


先輩達の騒ぐ声とカントクのどや顔に頭痛を覚えた。
やっぱりか、としか言いようがない。
海常高校。
黄瀬くんの進学した学校だ。
赤司くん、思いの外、早くに見つかってしまいそうですよ。
だって、ほら、いつもは居ないギャラリーがこんなにも煩い。


「お久しぶりです」


全中が終わってから、卒業式を含め、僕は彼に会っていない。
間違いなく、久しぶりだ。


「挨拶に来たんスよ。会いたかったッスよ、黒子っち」


相変わらず、病んでる。
誰よりも爽やかなスポーツ青年を演じるのに、黄瀬くんの暗い部分はキセキの中でも一、二を争う。
影である僕への執着は青峰くんの次に強い。


「僕は会いたくなかったです。よく僕が誠凜だとわかりましたね?」

「相変わらず冷たいッスねー。ま、いいッスよ。女の子の情報網は侮れないんスよ?黒子っち」


盲点だった。
まさか黄瀬くんがファンの女の子を使うなんて。


「さっき、そっちのお兄さんのプレイ見せて貰ったッスけど、正直、がっかりッスよ。ここじゃ黒子っちを活かせない」


好き放題言って、更に言い切りましたね。
全く、赤司くんの目がないから好き放題なのは如何なものか。


「ねぇ黒子っち。うちにおいでよ?また一緒にバスケしよう?」


伸ばされた手がいつかの赤司くんの手に重なる。
でも、自分には誠凜を受ける時に掴んだ手がある。
大きな、それこそ、僕の頭を軽々と掴んでしまうような手を思い出す。
一度目を閉じて、真っ直ぐに黄瀬くんの目に視線を合わせた。
周りが煩わしい。


「僕を評価してくれるのは嬉しいです。すみません。丁重にお断りします」

「なんでッスか?!つか、文脈おかしいッスよ!」

「なんで、も何もありません。僕は君達のバスケを認めたくないんです」


キセキのバスケは楽しくない。
そう思ったのはいつだっただろう。
赤司くんと二人でする1on1は楽しいままだった。
なのに、彼らとするバスケは楽しくないと感じた。
それを赤司くんに言ったら、赤司くんは苦笑を浮かべて、そこから今に続く計画が始まった。


「冗談とからしくないッスよ」

「残念ですが、この気持ちはそう軽いものではないんですよ」


黄瀬くんの表情を言葉に表すなら、絶望だろう。
彼の琥珀が暗さを帯びた。


「諦めないッス」




琥珀は影を求める
(少しだけ今の状況が楽しい)
write by 99/2012/05/13






鼠猫の黄瀬は基本的に病:スレ:純=4:4:2くらい。
女の子にはニコニコしますがお腹真っ黒。
鼠猫書いてると、赤司がくしゃみ連発してそうと想像してしまいます。
はい、NG集のスカッ連発な赤司ならやりかねません。
そして、先輩及び火神達が空気…。
誠凜好きだよ!大好きだよ!!
今、キセキ編前編なんで、もう少ししたら、誠凜も………というか、先輩達にいい思いをさせたいので、一人ずつピックアップしたいなぁ。
最後の黄瀬と黒子のやり取りがもっと長くなる予定でした。
で、削ったら削りすぎたので、もしかしたら、後々書き直すかも←





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