泡沫に成り損ねた人魚姫

捏造帝光時代
紫(→←)黒で紫原×黒子



ふと通り掛かった教室を覗けば、机に突っ伏して寝ている紫原くんの姿を見つけた。
推薦で彼は秋田に行くらしい。
と言うのも、僕が直接聞いた話ではないからだ。
教室に居れば、嫌でもキセキの進学先を知る事が出来た。
正直、紫原くんが推薦というのは意外だった。
彼が強いのは知っているし、推薦が来るのも理解は出来るけれど、嫌でもバスケをしなければならない推薦で高校進学を決め、しかもわざわざ都内ではなく秋田に行くなんて、彼を知っている人間なら皆口を揃えて有り得ないと言っただろう。


「本当、寝てる時は子供みたいですね」


サラリと紫の髪を撫でれば、大きな身体が小さく身動ぐ。
キセキの世代全員の進学先が確定した日、僕は担任に最終的な受験先を提出した。
誠凜高校。
去年出来た新設校で、創部一年目にして都大会決勝リーグ進出を果たしている。
どんなチームかは知らない。
でも、このままよりはマシだろう。
僕はキセキに喧嘩を売るんだ。
だから、紫原くんとはもう笑い合えない。
僕は彼の嫌いなバスケでしか繋がれないのだから。


「好き、でした」


過去形にした。
きっと、もう会うことはない。
次に会う時は、敵だ。
これ以上、傍にいては未練が残るだけだと、紫原くんに背を向けて歩き出した。
途端、ガシッと腕を掴まれた。
ガタガタンと机と椅子が盛大な音を立てる。
気が付いた時には、大きな彼に抱き込まれていた。


「言い逃げとかずるいし」

「紫原くん」

「黒ちん」


最初の不機嫌な声が嘘のように優しい声音が僕を呼ぶ。


「好きだよ。大好き」

「っ」

「離したくなんかない」


君は本当にズルい。
甘い、砂糖菓子のような、声が頭に響く。


「黒ちん、俺といっしょに秋田いこう?」

「む、ら…」

「イエスしかききたくない」


あぁもう、僕の都合なんかお構いなし。
君は、我が儘で、でもそんな君を好きな僕もきっと我が儘だ。


「黒ちん、泣かないでよ。笑って、ね?」


甘い声と共に降ってきた口付けは、いちごみるくの味がした。



泡沫に成り損ねた人魚姫
(担任に進路変更してこなくちゃいけませんね)
write by 99/2012/05/15




5月15日は帝光紫(5)黒(15)の日!
黒子in陽泉も美味しいですね!
陽泉は寮あるのかしら?
何故か99は赤司は寮のイメージなので洛山には寮があると信じてる。
陽泉が寮だったら、紫原の世話係は黒子な!と一纏め同室にされて、紫原役得!な話。
黒子なら岡村主将を上げて落とすという高等技で弄ってくれるって信じてる!←
いちごみるくは、紫原が飴を食べてたから。
何故か紫原は飴をガリガリ噛んで食べそうだと思う。
奴の歯は丈夫そうだ。





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